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専業ぼっちbotterとして3ヶ月が経ちました

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こんにちは。ぼっちbotterよだかです。仕事を辞めて専業botterとして舵を切って3ヶ月が経ちました。
専業としての生活にもすっかり慣れてきました。今月の振り返りをまとめていきます。

開発に関する技術的な記事はクリプトブログにまとめているのでbot開発について具体的に知りたいという方はそちらの記事も併せて読んでみてください。

bot関連

月次報告(2025/6/27)にもまとめていますが、今月は「botの安定稼働をどうやって実現するか」ということが主なテーマでした。

大きなところだけ拾うと
「24時間監視&記録のスクリプトを複数作成」
「それらの並行稼働」
「エッジ検証」
「各botの強化」

をしていました。

現在の開発の実態にPCのスペックが追いつかなくなったので新しいPCも買いました。

「データ取得→戦略評価・エッジ検証」までのパイプラインを組み上げてもそれがまともに動かせなかったり、強化したはずのbotが途中で反応が悪くなったりするということの根本原因がPC本体のスペックにあることがはっきりしたので、それがダルすぎてMac mini M4を新規購入しました。現状、開発はサクサクですが、半年後にはまた買い替えている気がします。
詳細はこちらの記事(🛠️週次報告(2025/6/13~20)「開発&運用が加速してきたので新しいPCを買いました」という話)にまとめています。

他にも設計思想の整理とかをしてました。(動的なbot開発&運用思想のエッセンス)

総括

6月の目標であった3botの並行稼働という点では達成度は50%ほど。PCスペックの問題で開発が滞っていたのですが、買い替える前にできることを全て試していたので、これに1週間近く時間を取られたのが痛かった。まぁ、それなりに納得した上で買い替えができたので良かったと言えば良かったのですが、今後はインフラ投資に関してはもっと早く判断できるようになる必要があると感じます。

また、高頻度系のbotと低頻度・中頻度系のbotを同時に開発・運用することでそれぞれの良さや躓きポイントについて知見が貯まってきたという点では目標達成です。botterとして舵を切った時に「最低3年間は続ける」と決めたので、すぐに稼げるかどうかよりも「このbotを作ることで長期的なメリットを得られるか」という点を意識しているからです。具体的には「一発作っただけで今後2度と使わないであろうbot」や「マーケットの極端な構造変化に伴って収益を上げるタイプのbot」「開発コストに対して儲けが少ないbot」は、現時点で作成を見送っているということです。

あと、FRデルタヘッジbotは、私が開発している他のbotと競合するのと拘束される資金や請け負うリスクの大きさの割には収益性がしょっぱいので、開発・運用は一時中断しています。(Δヘッジ戦略自体は強いんですけどね)

ちなみに戦略選定は、この記事(2025年版・仮想通貨bot戦略体系まとめ)を参考にしています。

発信活動は、当初の狙い通り減少。外圧発生装置・自己の再学習としての機能はほぼ完全に死んでいるので、7月からは別のアプローチも試します。

戦略

MM/FR MM

まずは、高頻度系に該当するMM(Market Making)bot。これの作成に最も力を入れています。安定稼働の実現、エグジットロジックの強化、データ監視と成形、PnLと実働パラメータとの比較検証パイプライン整備、動的エントリの導入、それらに伴う微調整などなど。

現在も実弾をぶち込んで、ロジック強化や戦略のスケーリングに邁進しています。MMひとつとっても"何を収益源とするか"によって攻め方が変わるのですが、私は高頻度系botの一つとして動かしているので 純粋なMM戦略としてのアプローチが主だったものになる傾向が強いですね。例えば、手数料負けをいかに握り潰すかとか、両fillしなかった場合に抱える在庫リスクをいかに華麗に捌くのかとか。

現状、最も大きな課題は「エントリを鬼のように強くすること」なので、エントリ部分に動的ロジックを取り入れたり(すでに実装済み)、そもそももっと高速に処理ができるように実行部分の一部をRustなどに置き換えるなどもアプローチを検討中です。

MM自体は市場構造が大きく変化しない限り収益を上げることができる戦略モデルの一つであると判断しているので、7月も戦略の強化とスケーリングを続けていく予定です。

オンチェーン清算スナイプ

hyper liquidの清算スナイプbot。これは、オンチェーンbotの練習という意味合いが強いです。清算スナイプ自体は、かねてより試しててみたかったことの一つでした。しかし、CEXでまともに清算スナイプをしようとすると駆け出し個人botterの私にはとても不利なので、「じゃ、オンチェーンで適当なところ見繕ってとりあえずやってみるか」というノリで開発しています。

データ取得用のスクリプトは安定して稼働しているので、後は監視と収益機会の検出と注文処理が行われるところまで持っていけばOKというフェーズです。

現在のところ、低〜中頻度bot枠で開発していますが、オンチェーンbotはCEXbotと様々な点で違いがあるので、まともに作り込むだけで知見が溜まりまくってありがたいし面白いです。

マーケットデータ記録用のスクリプトを作ってみただけでも「データ取得レイヤー」「レイテンシの支配要因」「監視ポイント」などの点でCEXbotとは大きく異なるアプローチが求められるので、全く違う戦略思考が刺激されて開発が捗ります。また、CEXbot開発で煮詰まってきた頭に別の刺激を入れるという意味でもオンチェーン botの開発はメリットが多いと感じています。

詳しいことは、この記事(「CEXボット vs. On-chain DEXボット──設計・監視・運用がどう変わるか」)にまとめています。

清算スナイプという戦略の特性上、perpなどの取引形態が実装されている領域での取引機会に限定されますが、大枠では「ヒゲ取り戦略」の一つとも言えるので、今後もスケールさせやすい戦略の一つとして開発を継続します。(収益機会が少なく稼げなさそうなら撤退しますが)

アビトラ

王道ですね、アービトラージ。CEXに限定して鞘取りするbotです。複数の取引所にまたがって複数のトークンの価格を監視しつつ検出した利鞘を抜く、という超シンプルなbotです。

現状、開発は最もシンプルですが、競合が多いので「勝てるよ。ただし理論通り動けばね?」という状態です。

「無裁定機会をどう定義するか」という点や「いかに遅延やスリッページと戦うか」などが個人開発者が作るbotロジックのキモなので、作り込み甲斐を感じます。

アビトラの良い点は「勝てる理由を論理で説明できる」ところです。(それでも負ける時はしっかり負けますが)アービトラージはあらゆる戦略の土台となる考え方に通ずるので、今後もしっかり作り込んでいきます。

おすすめ記事:「仮想通貨Botterの必読書シリーズ②アービトラージ入門」

インフラ

PC(Mac Mini M4)の買い替えと冷却ファンの購入。これで開発がサクサク進むようになりました。

六月半ばにはbotを並行稼働させる度にPCの挙動がカクカクにならないかどうかにビビりながらやっていましたし、カクカクしたらしたでトラブルシュートのためのログを吐き出すコードを書いて状況再現するという地獄に片足突っ込んでいたので、PC買い替えでこれらが一気に解消されたのは本当にありがたいです。

また、手元には遊んでいるモニターもあるので、複数モニター展開で開発を加速させられるかもしれないなと思っています。現在は、曲面ワイドモニター1枚だけで特に不便は感じていないのですが、コードレビュー用に縦置きモニターの併用を試してみようかなと思っています。添付画像のモニターは去年の9月から使っている49インチのものです。一度画面中央におかしなラインが入るというトラブルがありましたが、販売元に連絡したら速攻で新品と交換してもらえました。このメーカーの商品は、現在はamazonで扱っていないようです。残念。

自分は設備投資にお金をケチるタイプではないと思っていたのですが、案外こういうところでケチっている分、今後の改善点なのかもしれないなと思います。ローカル環境で安定したbotとそもそもローカル環境では勝つことすら難しいと判断したbotは、順次レンタルサーバに流していく予定です。

それでも、recorderとbotを2本ずつ回しながら開発も行っているとPC本体が熱くなってくるので、ペースを調整しながらぼちぼち開発しています。(年末までには、また機材が増えていそう。もしくは、レンタルサーバでの運用がメインになっていそう,,,)

MacBook Air M2、今までありがとう。高級な計算機がまた一台増えてしまった。

発信

発信が面倒臭くなってきた。これは良い意味で捉えています。4月、5月、6月と順調に発信の頻度は減ってきています。代わりに開発にかける時間が増えてきています。

と言うのも、私自身がbot作りで分からないことや迷うことが減ってきたためです。4月当初はわからないことや迷うことが多かったので、頻繁に発信を行って思考整理をしていました。しかし、現時点ではbot作りにおいて分かりきっていることまで丁寧に言語化していると開発のペースが大幅に落ちるので、思考整理や振り返りにつながらないと判断したことは発信しないというスタンスです。

発信活動はbotterのメインタスクではありません。でも、発信することで自分の考えを定点観測用の記録として残せるというメリットはあるので、週次・月次報告は更新しています。

専業botterとして3ヶ月が経ったというだけなので、今後3年間はこのような形で定期的に発信は続ける予定ですが、現時点においても「やっていることのすべてを言語化する必要はないし、それは自分のためにもならないな」と感じているのが正直なところです。

外圧発生装置・再学習装置・思考整理ツールとしての発信活動はその役割を十分に果たせているとは言えないので、7月は別のアプローチも試したいなと思っています。そろそろ、自分でROIレビューを回して厳しく数字でジャッジしてみても良いのではないかなと思っています。

7月の目標

  1. 高頻度系の bot作りを詰める
    MMbot系列のスケーリング(戦場・通貨ペア・取引ロジック・使用言語・実行環境)
  2. DEX系(オンチェーン系)のbotを作り込む
    清算スナイプ(エッジ検証&実弾テスト)
  3. アビトラbotを拡張する
    取引機会検知、少額での検証、監視対象拡張、無裁定状態の定義→裁定機会の検出
  4. 新戦略を一つ以上試す
    心理的に抵抗感が強いものを選んでbotを一つ作ってみる
  5. 一人でROIレビューする(週末&月末)

これ以外に、開発フローそのものの改善案として以下の3点も試してみます
・README&Docsに開発ゴールと現状をこまめに記載してCursorにフルサポートさせてみる
・ChatGPTを外部思考OSとして切り離して活用する(抽象度の高い質問を投げたり、断片的なコードレビューをさせるなど)
・午前タスクと午後以降のタスクの内容と成果の記録を取る(時間別の開発ROIもどきも検証したいので)

そのほか

ここからは、bot以外のことについて少しだけ書きます。

生活

自分で言うのもアレですが、生活は規則正しいルーティンが続いています。朝は4時〜5時に起床して、ランニングor散歩orサイクリングをしたら、軽く朝食をとってから開発開始。ずっと同じ姿勢で過ごしていると筋肉痛になるので、午前中は3、4回の休憩を強制的に挟みながら集中力を必要とするタスクを一気に片付ける。(6月はPC周りのトラブルシュートや動的なロジックの勉強などが多かったです)

食事は基本自炊。作るのも食べるのも買い物するも好きなので、botから物理的に距離を取る時間としてかなり大事。bot開発で一山越えた時(例えば、新戦略をローンチした後や馬鹿デカいリファクタを完了させた時など)はご褒美に外食する。

午後は、ダラダラしてます。漫画読んだり映画観たり昼寝したり。ここで"エネルギーが溜まったら開発再開"って感じで寝るまでは大体開発してますが、午後〜夜にかけては生産性の高いタスクはできていないように感じます。(7月はこの辺りも検証するのでもっとはっきりするはず!)

最も大きな効果を感じたのは、運動や作業中のAudibleを禁止したことです。何もしていない時の方がかえって思考が整理されるので、bot作りの本質的な部分に立ち返って開発をすることに役立っていると感じます。(「そもそもこの機能は取り入れる必要があるのか?」とか「あの戦略の優位性が生きるのは別の環境じゃないかな?」などのように引きの視点で考えるのは開発中は難しいので)

本を読むこと自体はかなり好きなので、週に1冊くらいのペースでじっくり読むようにしています。(ピーター・ワッツのブラインドサイトは特に面白かった!)

人と会うペースは少しずつ落とすことを意識していて、現在は週に1回未満でも問題なく過ごせています。相変わらず人との接触はほとんどなくても心が摩耗しないので(むしろ快適)、今後も同じような生活が続くのかなと思いますが、一旦心を壊すと治すのはなかなか大変そうなので今後もきちんとモニタリングしておきます。

bot以外の副業について

一応、リフォーム大家とブログアフィリもやっているのですが、専業botterになってからは、ほとんど触らなくなってしまいました。その性質上、あまり触らなくても良いタイプのビジネスなのですが、”スケールさせるためのちょっとしたリサーチ”すらも6月中はやっていません(4,5月は購入できそうな物件の調査やアフィブログのリライトなどをしていた)。

仮想通貨 bot開発に注力していると他のことがノイズになるとはっきり自覚できたので、今後これらのビジネスは最低限のラインでゆるゆる維持するのが良いかなと思っています。リフォーム作業や庭の整備などは体を動かすことにもなるので定期的にやっているのですが、暑くなってくるこれからの時期に外で作業するのがシンプルに面倒くさいというのもあります。

まとめ

初めからbot開発を長期戦だと捉えてるので、ヘタに周りと比べて成果を焦ったり自分がやっていることの判断基準がブレたりしていないのは良いことだなと思います。3年続けるということは36ヶ月のうちの3ヶ月が経過したということであり、6月はそこそこ順調だった面もあればもう少しできたかもしれないなという面もあります。

大事なのは「とにかくやめないこと」「検証を重ねながら続けること」。

少なくともこの3ヶ月で「やめたい」「きつい」「無理かも」「つまらない」という気持ちになったことはただの一度もないので、"少なくともbotterが向いていないことではないな"と思っています。

そうは言っても、3ヶ月なんて期間は気合いで走り切れるという意味では誤差の範囲内です。バーンアウトしてしまうことが最も怖いので、負荷を高めつつもマイペースに続けていくことが大事かな、と。

専業とはいえ駆け出しであることには変わらないので、「成果は焦らず、しかし、積み上げることは着実に」というスタンスで続けていきます。

対戦、よろしくお願いします。

-botter