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専業ぼっちbotterのログ|2025年11月

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こんにちは、よだかです。

11月は、私にとってひとつの境目になった月でした。
技術的にも、思考的にも、環境的にも、これまでの延長線を超えて
“専業ぼっちbotterとしての形” がはっきり立ち上がってきたという感じ。

ここから先は、単に bot を作るのではなく、
私自身の在り方まで含めて「最適化」されていくんだろうな、と。
その最初の輪郭が見えたのが、ちょうどこの11月。


1. 一次情報レイヤーと本気で向き合った月

今月はとにかく “1秒の世界” に潜っていました。
OFI、OBI、ETVI、micropriceなどにはじまる自作指標の作成と詰め──。
これまで表面で理解していたつもりだった概念が、
ようやく「身体感覚としての理解」に落ちてきました。

様々な指標の基礎とその考え方を理解し、自分のものとして再構築できたのは大きな一歩。

端的に言えば、

市場の力学(mid)と現実の動き(micro)のズレ(偏差)こそが、私が戦うべき“現実の勾配”なんだ

と、ようやく腑に落ちました。

例えば、1sバケットの信頼性に疑問を持ち、
一次情報 → バケット → メトリクス → レジーム
というレイヤー構造を自分で描き直したのは大きかったです。

そして、根本的な気づきも。

このレイヤー、どこか一段が壊れていたら全部壊れる。

だからこそ
“何を基準に、どのデータから、どう算出したか”
を冷静に追えるようになったのが、今月の大きな前進です。

一次情報の取得とその加工が命。


2. 三角アービトラージの「構造」を徹底的に育てた

CEXの三角アービトラージも、形が整ってきました。

  • DepthStream
  • VWAP算出
  • sufficient_depth
  • Detector/Executor の責務分離

どれも当たり前のように見えますが、
私は “構造が理解できずに動いているコード” が嫌いです。
だから、この1ヶ月はひたすら
基礎から積み直して、しっかり“生きた構造”に育てた月にしました。

アービトラージは「起きない方が普通」。
トレード系戦略との大きな違いの一つです。
だからこそ、待つ構造の重要性にも気づけました。

機会が発生した時に確実に最大限拾うことができるbotの構築が重要。
アビトラbotは準備で98%決まる。(残り2%はbotの構造を信用して放置する胆力)


3. DEXに触れて“世界が違う”と理解した

Arbitrum × Uniswap V3 の検証では、
いよいよ DeFi botter らしい戦場に踏み込み始めたという実感があります。

  • RPCテスト
  • chainId / blockNumber
  • gasPrice
  • slot0()
  • 24h ペアスキャン

やってみて分かったのは当たり前なんだけど見落としがちな事実。

CEXとDEXは、ルールが違う。

これ、雑に言うと、CEXはロジックに寄せればそこそこ戦えますが、
DEXは「環境(RPC / mempool / ネットワーク負荷)」そのものが戦闘力の世界だよってことです。

これ、実際に触って初めて理解できたこと。

今取り組んでいる CEX/DEX Arb が
DeFi bot のどの位置にあるのか、体系的に掴めたのも大きかったです。

価格形成メカニズムの差を生む構造にもエッジが潜んでいることも理解できました。

DeFiのトレンド的には様々なタイプのDEXが成熟期に入っているという印象。CEXタイプのモデルを混合させたようなDEXも台頭してきており、今後はCEXで使っているロジックもマイナーチェンジして使えそうなので、CEXbotの開発にも手を抜くつもりはありません。


4. メトリクスと監視基盤が“運用レベル”に到達した

今月の象徴的な成果はここ。

Prometheus、Grafana、Slack──。
ようやく、私の開発環境が “運用する人間のもの” になったという感じ。

  • WSレイテンシ
  • 注文実行レイテンシ
  • エクスポータ
  • ジョブ構成
  • メトリクスの可視化
  • 異常系の特定
  • データ取得を接続切断時のリカバリ
  • 「グラフが出ない=壊れている」という検証フロー

これらのおかげで、
“ログの文字列だけに依存しない開発” ができるようになりました。

フリーのツールがこれだけ溢れている時代、最高。

何より、

メトリクスが正確かどうかを疑う視点を持てたのは、botterとしての成長です。

後段がどれだけ強くても、メトリクスが壊れていたら意味がないので。
DEX botにおいて一次情報を舐めてかからないことの重要性は、控えめに言ってもCEX botの100倍は重いです。
その当たり前を、実感ベースで理解した月でした。


5. SNS(X)アカウント削除という大転換

多分、これが11月最大の決断にして最大級の効果を発揮した行為。

私は今月、Xのアカウントを削除しました。
理由はシンプルで、botterとしての成長と相性が悪すぎたからです。

外部評価のシグナルは、思った以上に認知が揺れる。
まして私は、深く潜るタイプの人間です。
短期サイクルの情報に脳を削られるのは、手痛い損失。

クソリプだけでなく、「いいね」すらもノイズだったので。
ろくに分かってねぇやつまで適当な反応晒すなよ、みたいな気分にさせられることからも完全に解放されました。

SNSって本当に価値のあるコメントってごくごく僅かしかつかないんですよね。
ま、これはもうSNSというプラットフォームの性質上、仕方のないことです。

前提条件として、SNSには「どうしようもない愚か者」の占める割合が高すぎる。 
(もちろん、真面目に考えている人や有益な発信もあるということは否定しないけど)

流れてくる情報も全部二次以下の情報だし。
そもそも原液を探すのが得意な私にとってはSNSって毒を流してくる川という要素が強すぎました。

で、アカウントを削除してから、いろんなことが明確になりました。

  • ノイズが完全に消えた
  • 自分の“原液”が濁らなくなった
  • 思考の連続性が復元した
  • 午前の90分スプリントの密度が跳ね上がった
  • 開発に凄まじく集中できるようになった

7月ごろからChatGPTにbotの技術で気になることを検索させたら「私が書いた記事」がヒットすることが増えてきて、「あ、これもう私が原液じゃん」という確信を得たのです。

SNSでの発信がエッジ漏洩になる感覚もあったし、
削除は必然という感じです。

個人開発に集中したいのなら、やめよう、SNS。

私はぼっちbotterで良いし、その方が強い。一次情報以外に価値なし。


6. 孤独の深化と、思考の再構築

11月は、技術だけでなく “自分の構造” と向き合った月でもありました。

  • 過度に深い自己分析は疲れること
  • 疲れる前に切るという技術
  • 休憩・散歩・読書の最適なタイミング
  • 長期構造の方が自分に向いていること
  • ミニマルに試すことの重要性
  • 紙に書くことで整理できること
  • 自分はプロセスドリブンなタイプであること
  • 中途半端な構造表出や言語化を強いられると、アイデアが思考プロセスごとが壊れること

こうした内省は、結果として
bot開発の生産性にも直結しました。

思考のスタックが整理されて、
戦略の構造も自然と見えるようになってきました。
例えば、取引所の構造を眺めれば「どこで価格の歪みが発生するのか」や「どう攻めるべきか」が、ほぼ直感で分かってしまうようになった。
(実行可能かどうかは別にしても、“分かる”のは大きい。実行不可能なら“やらない”という選択肢を迷わず取れるから。)

孤独に耐えられることは、専業botterの必須スキルです。
けれど、私は「耐えている」という感覚がほぼありません。向いているんです、botter。
元々、孤独を“武器”にする方向に進んできたことの証だと思っています。

こちとら、伊達や酔狂で”ぼっちbotter”を名乗ってるんじゃないのよ。……なんてね。


7. 11月を終えて思うこと

振り返ってみると、
今月は技術と環境と精神のすべてが
「専業ぼっちbotterとしての形」を作った月でした。

  • 深い理解
  • 手を動かす実装
  • 監視基盤の確立
  • 戦場理解
  • SNS断ち
  • 思考の連続性
  • 孤独の進化

どれかひとつ欠けても、いまの私はいなかった。

私はまだ完成していないし、
来月はまた違う進化が待っているでしょう。

でも、ひとつだけ確信しています。

私はこの道に向いているし、続ければ結果が出る。

11月は、その確信が“構造”として根付いた月でした。

というわけで12月もトレードとアビトラの二刀流スタイルでじっくりと開発を進めていきます。

対戦、よろしくお願いします。

-botter