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【仮想通貨Botterの必読書①】『最も賢い億万長者』― 数学とアルゴで世界を制した男の戦略と思考

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再読日:2025年4月17日

こんにちは、Yodakaです。

今回の開発記録では、Botterとしての視座を高めるべく再読した書籍――
**『最も賢い億万長者(The Man Who Solved the Market)』**についてまとめていきます。

これは、ジム・シモンズ氏が率いるヘッジファンド「ルネサンス・テクノロジー」の軌跡を描いた一冊。
ただの人物伝ではありません。

  • アルゴリズム取引の誕生秘話
  • 数学的アプローチの意義
  • 統計的アービトラージの原点
  • トレーディングにおける“感情排除”の重要性

など、システムトレードに携わる者なら必ず学びになるエッセンスが詰まっています。

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◆ 本書の概要:数学者からトレーダーへの転身

ジム・シモンズは、MIT・ハーバード・ストーニーブルック大学で功績を残した数学者。
40歳を過ぎて研究職を離れ、金融市場へ飛び込みます。

彼の武器は、「論理で構造を見抜く力」と「感情に頼らない意思決定」。

アルゴ戦略でマーケットを制し、年率40%超のパフォーマンスを数十年にわたり叩き出した“伝説”の男の物語です。


◆ 上巻のポイント:構造を解く者

● “考えごと”が通貨になる世界

彼は幼少期から「数学者=考えることでお金をもらえる職業」だと捉えていたそうです。
これはまさにBot開発にも通じる感覚。

市場を“カオス系”と捉え、「構造は存在する」という仮説のもと、統計的モデリングを通じてルールを抽出していきます。

📌 優れた思考は、数字を通じて現実を捉えなおす。


● エッジは“ゴースト”である

  • 頻繁な取引=小さな利益を積み上げる
  • システムを信頼し、価格の理由は考えない
  • ノイズを捨てる
  • ニュースには反応しない
  • システムは生き物。常にアップデートされる

トレーダーが感情で誤る瞬間をシステムで突く。
シモンズたちは、**“人間の非合理性を逆手に取る”**ことに徹していました。


◆ 下巻のポイント:市場の拡張と内部構築

● 先物・オプション → 株式市場へのスケール

シモンズ率いるチームは、資本が巨大化するにつれ「勝てる市場」が限定されることを実感します。
その結果、株式市場へと主戦場を移行。

📌 市場選定の基準は「流動性×資本力×予測モデルの再現性」。

この点は、私自身も仮想通貨 → 債券・株式・各種デリバティブ・先物へとBotをスケールさせたいビジョンと重なります。


● 確率モデルの応用と限界

  • 隠れマルコフモデル:確率変数の背後に“見えない状態”があると仮定して予測
  • ベイズ統計:情報更新を繰り返しながら“事象の確からしさ”を絞り込む

いずれも「ノイズ」との戦いが避けられず、過学習や過剰フィッティングのリスクが存在します。
だからこそ、システムには“自己調整機能”が組み込まれていました。


● 経営者としての視点:オープンな社内構造

  • ソースコードは共有制
  • 開発者同士が切磋琢磨する文化
  • 後継者の選定には慎重かつ多様性を重視

ここには、強いエンジニア集団の作り方、創造性と管理のバランス感覚が表れていました。


◆ トレーディングシグナルの選定プロセス

  1. 異常なパターンを見つける(データマイニング)
  2. 時間軸に対する優位性を検証(統計検定)
  3. 価格変動を“合理的に説明”できるか確かめる(因果とロジック)

重要なのは、「奇妙で説明困難なパターン」が再現性を持つかどうか。
直感的である必要はなく、“非直感 × 統計的優位”のシグナルが最も収益性を持つと語られていました。


◆ 感想:Botterとしての姿勢を再確認できた

ジム・シモンズの「構造を予測する」という考え方は、まさに私がBot開発で追いかけている理想像でした。

  • 人間の感情に左右されず
  • モデルに忠実であり続け
  • 数字と構造に信頼を置く

この姿勢を徹底することが、**再現性ある収益を生む“鍵”**になるのだと強く再認識しました。

さらに印象的だったのは、どの登場人物も「お金を稼いだ後に向かう先」が異なること。
学問、政治、人間関係、芸術…。

その中でもシモンズは、「知性の実験場としての金融市場」にとどまり続けました。
この“飽きなさ”こそが、成功を生む資質の一つなのかもしれません。


◆ 今後へのTODO(宿題)

  • ベイズ統計学とHMM(Hidden Markov Model)の深掘り
  • 非直感的な戦略にこそ注目して検証する
  • 自己進化型トレーディングアルゴリズムの研究
  • 市場拡張に向けた先物・株式市場データの整備

◆ まとめ

この一冊は、システムトレーダーとしての軸を整える最高の教材でした。
Botを「知性を試すツール」と捉える私にとって、再読するたびにモチベーションが上がる作品です。

自分のモデルを信じるために、どれだけ“疑う”か。
そして“人間の感情”と“数字の論理”をどこまで切り離せるか。

その覚悟が、Botterとしての進化を左右する。
そう確信させてくれる名著でした。

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