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【新時代を生き抜く企業文化!】NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX【リード・ヘイスティングス エリン・メイヤー】

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こんにちは、よだかです。

今回は「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX」の紹介です。

今や圧倒的な大企業として覇権を握るNETFLIX。

DVDの郵送レンタルサービスとしてスタートしてから、目まぐるしくビジネスモデルの破壊を繰り返し、現在世界190ヵ国で2億人の会員数持っています。

本書はNETFLIXという企業をここまで成長させるに至った秘訣を超具体的に紹介しています。

これだけだとよくあるビジネス本と同じで、成功者の振り返り・ポジショントーク系の本だと思われるかもしれません。

この本の興味深い点は「共著者に経営学者を招いている」ことです。

大企業の文化を作り上げてきたカリスマ経営者のリードヘイスティングスと企業文化研究で名高いエリン・メイヤーのタッグが生み出す本書。

これまでのビジネス本とは一味違う深みを持つ本書は、経営者のみならず組織を運営する立場の方なら必ず読んでおきたい1冊です。

「自由と責任のバランス」をいかにうまくとるのか?

働く人たちが主体となり、自分達のパフォーマンスを最大限発揮できる文化をつくる秘訣とは?

企業・組織を運営する中で、誰もが考える課題に向けて多くのヒントを与えてくれる内容です。

それでは早速紹介していきましょう!

脱ルールのカルチャー

NETFLIXに根付いているのは「脱ルールのカルチャー」です。

様々なルールを撤廃するために必要な要素は2つ。

能力密度」と「率直さ」を高めることです。

強化したい2つの要素

①能力密度を高める

優秀な人材で組織を作れば、コントロールの大部分は不要になる

一般的に企業がルールや管理プロセスを儲けるのは、社員のマイナスな行為や不正を防ぐためである。

そのような行為をしない人材を集めたり育成したりすることができれば、ルールは必要なくなる。

②率直さを高める

優秀な人材同士でお互いから多くを学び合う環境づくりをする

優秀な社員が当たり前のようにフィードバックをするようになると、全員のパフォーマンスの質が高まる。

そして、お互いに対して暗黙の責任を負うようになり、従来型のルールはますます不要になる。

NETFLIXは、その上でいかにコントロールを減らすかということに重きを置いています。

簡単にいうとできる限りの裁量権を社員に委ねてしまうということです。

管理職には「コントロールではなくコンテキストによるリーダーシップ」という原則を与えます。

社員には「上司を喜ばせようとするな」といった指針を与えます。

NETFLIXが撤廃した方針やプロセス

休暇規定

経費規定

賃金の等級

意思決定の方針

業績を改善する計画

上司による契約書の署名

成果報酬型ボーナス

社員に裁量権を委ねることで、NETFLIXは成長を続けてきました。

しかし、闇雲に裁量権を委ねてきたわけではありません。

裁量権を委ねる土台があってこその自由なのです。

「能力密度」と「率直さ」を高めて「コントロールを減らす」

これらが成長の好循環を生み出すのです。

この循環を3つのフェーズに分けて分析していきます。

フェーズ1

有能な人材だけを集めて能力密度を高める

最高の同僚で結成された職場環境を作ることで、社員の士気が劇的に高まります

NETFLIXは2001年のインターネットバブルの崩壊の影響で、120人いた社員のうち40人を解雇しました。

しかし、社員の3分の1を失った職場には以前よりも活気が満ち溢れ、再び急成長を遂げたのです。

教訓

・優秀な人材はお互いをさらに優秀な人材にする

・怠け者や悲観論者がチームにいると、全員のパフォーマンスが低下する

フィードバックを促し率直さを高める

素直なフィードバックによって、優秀な人材は傑出した人材になります

頻繁で率直なフィードバックは、チームや会社全体のスピード感と有効性は飛躍的に高めます。

とりわけ重要なのはリーダーが頻繁にフィードバックを求めること。

そして、フィードバックを受けたときにはきちんと感謝を伝えることです。

リーダーが率先してフィードバックの在り方を示すことで、チーム全体に素晴らしいフィードバックの循環が形成されていきます。

フィードバックのポイントは与える時受ける時とでそれぞれ2つずつあります。

与える時

①相手を助けようという気持ちで行う

フィードバックは前向きな意図を持って行う必要があります。ある行動を変えることが相手自身や会社にとってどのように役立つのかを明確に伝えましょう。個人の主観は一旦手放して、変化によって生じる前向きな未来についてきちんと言葉にすることが重要です。

②行動変化を促すつもりで行う

フィードバックを受けた相手が行動をどう変えるべきかを考えられるように伝えましょう。相手の行動を禁止したり、考え方を否定したりするのではなく「あなたが〇〇すれば、周りの人の行動は〜〜になりますよ」などと行動や考え方を変えることによってもたらされるであろう未来を併せて伝えるようにしましょう。

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受ける時

①感謝する

フィードバックをもらったら感謝を示しましょう。真摯に耳を傾け、囚われない心で相手のメッセージを検討し、どう振る舞ったら良いのかを自問する習慣をつけることが重要です。

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②取捨選択

多くのフィードバックを受けたとしても、それら全てに従う必要はありません。心からの感謝を示したら、受け入れるかどうかは自分で決めましょう。受け入れるかどうかは本人次第です。フィードバックを与える人・受ける人の双方がそのことをきちんと理解しておきましょう。

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休暇、出張、支出に関する規定などのコントロールを撤廃していく

休暇規定を廃止する

どのように休暇を取るのかは、完全に社員に任せてしまいます

これを実施すると、当然業務にはぽっかりを穴が開くことが考えられます。

それを避けるために、上司は事前にチームにコンテキスト(条件)を提示しておきましょう。

休暇のパラメータなどを明確に示しておくのが効果的です。

例えば「1ヶ月休むなら少なくとも3ヶ月前には断っておくこと。1週間の休みなら1ヶ月前ので良い」など。

休暇の取り方について、様々な状況を想定しながら部下とじっくり話し合う必要があります。

上司が率先して長期休暇を取ることで、社員に適切な振る舞いを示すことも大切です。

出張旅費や経費規定を廃止する

出張旅費や経費申告に関わる規定を廃止します

ここでも当然起こりうるトラブルがあります。

制度の悪用をする社員が出てくるという問題です。

前提として、組織の隙をつく社員はどうしても一部存在します。

しかし、彼らのもたらす不利益は企業全体にもたらされる利益とは比較にならないほどの小さなもの。

会社の文化を整えることで、リスクを減らしメリットを増やすことを考えるのが得策です!

そのために必要なのは、やはりコンテキスト(条件)です

押さえどころ

マネージャーが経費の使い方についてコンテキスト(条件)を明確にすること

社員の領収書の確認を促し、浪費をするようなら、さらにコンテキストを設定すること

この点においては条件付けだけでは不十分ですので、最低限のルールも併用しています。

共有したいルール

経理部門が領収書の一部を毎年監査するようにする

制度を悪用する社員は解雇し、その悪事を具体的に社内で共有する

大切なのは、社員を信頼しているという文化を根付かせることです。

新たに自由を与えると、ルールがあった時よりも支出を減らす社員は多くなります。

経営者が社員への信頼を示すと、社員たちも自分たちがどれだけ信頼できるかを示そうとするのです。

フェーズ2

フェーズ1を達成したら次に目指すべきステージが見えてきます。

ここからはさらにチャレンジングな内容となってきます。

個人における最高水準の報酬を払い能力密度を一段と高める

一般的な企業の報酬制度は、クリエイティブ系で能力密度の高い会社には不向きです。

クリエイターと呼ばれる人材を確保することは、能力密度を高めるための最優先事項です。

雇用における戦略

クリエイティブ系の職種では、10人以上の凡庸な人材を採用する代わりにたった1人の抜群に優秀な人材を採用する。

社内の職種をクリエイティブ系と現業系に分けて、クリエイティブ系の職種には個人における最高水準の報酬を払う。

会社全体に周知しておくこと

社員に対しては、人脈を広げて自分とチームの市場価値を常に把握しておくよう指導する。

他者からの誘いの電話を受けたり、面接を受けたりすることも含まれる。

その結果に応じて報酬を調整する。

組織の透明性を強化して率直さをさらに高める

透明性のある環境でこそ、人はそのパフォーマンスを高めます

情報はオープンにするよう努めます。

透明性のカルチャーを根付かせるために整えられることはたくさんあります。

例えば、オフィスの構造

なんとなくある社内の環境が、実はマイナスのメッセージを出していることもあるのです。

無くしてしまった方が良いもの、あなたの会社にもありませんか?

社内の象徴的メッセージには充分に注意を払いましょう。

不透明性を象徴するのもの

扉付きの執務スペース

番犬のようなアシスタント

鍵付きのスペース

財務情報の共有を共有する

会社の財務状況がどのようになっているかを重んじる文化があると、社員一人一人が会社全体の利益を考えるようになる。事業のあらゆる側面をあらゆる社員に公表するとともに、操業・財務に関する資料をしっかりと読み解けるように社員を教育する。

結論が出るのを待たない

組織の再編や解雇といった社員の人生に影響を与えそうな決定をする際には、できるだけ早く社員に伝える。一時的には社員たちの不安を煽ることになるかもしれないが、長期的に見れば早めの情報開示によって信頼を集めることに繋がる。

社内の透明性と個人のプライバシーがぶつかる場合は?

その情報が職場で生じた問題に関係していれば、透明性を優先し、率直に状況を説明する

情報が社員の私生活に関わる場合は、会社は詳細を明らかにする立場にはないと説明し、後の判断は社員に委ねる

意思決定の承認を不要とするなどもっと多くのコントロールを撤廃していく

イノベーション(改革)を起こすために必要なのはなんといってもスピード感!

情報の鮮度が命の現代では、せっかくのアイデアも上司の意思決定を待っているうちに腐ってしまうということが珍しくありません。

重要でリスクの大きい意思決定を下す権限を組織の様々な階層に分散するべきなのです。

リーダーが部下に教育すべきなのは「上司を喜ばせようと思うな」という原則です。

社員は一人一人が同じだけのチップを持っていて、それらを自身の判断で賭けができるということを教えましょう。

そして、その賭けは成功することもあれば、失敗することもあります。

ここで重要なのは、単一の賭けの結果ではなく、全体の成果で判断するということです。

賭けに成功する可能性を高めるため、反対意見を集め、アイデアを共有し、壮大な計画をまずは試してみることを教えましょう。

どんなアイデアも試してみないことには、何の価値も生み出しません

賭けが失敗したら、率直に公表して、チームで情報共有すれば良いのです。

上手くいかなかったデータを共有することで、その後の失敗のリスクを減らすことになるのですから。

フェーズ3

フェーズ2までを達成したのなら、いよいよ最終段階です。

「自由と責任」のカルチャーの到達点は目の前です!

ここでは、本書で語られる具体的な手法の一部を紹介します。

キーパーテストを実施して能力密度を最大限高める

ここであなたに質問です。

「チームのメンバーが明日退社すると言ってきたら、あなたはどうしますか?」

引き止めるでしょうか?

それとも少しホッとした気分で退社を受け入れるでしょうか?

もし、退社を受け入れるならば、今すぐ退職金を与えて、本気で引き止めたいスタープレーヤーを探すべきです。

これは「キーパーテスト」と呼ばれる手法です。

自分自身を含めてこの条件に当てはまるかどうかを自問するのです。

また「キーパーテスト」の導入は、マネージャーが部下を厳格に評価する指標にもなります。

能力密度がこのレベルまで高まると、企業のカルチャーはもはやプロスポーツチームに近いものになります

あたたかい家族のような経営ではありません。

変化の激しい時代を生き残るために常に高いパフォーマンスを要求され、それが発揮できなかった時には解雇される。

入社時にはそのことに同意したとはいえ、社員も1人の人間です。

そのため、社員の心理状態に充分に配慮した取り組みが重要になってきます。

ここが重要!

・解雇する必要があると感じたら、充分な退職金を払う。別の仕事に移るまでに自身と家族を養うのに充分な金額を用意する。

・社員が絶えず仕事を失う恐怖に苛まれることを避けるために、マネージャーに「キーパーテスト・プロンプト」を出すように促す。「私が退社を考えているとしたら、どれくらい熱心に引き留めますか?」と尋ねさせるようにするのだ。

・誰かを解雇したら、チームのメンバーに包み隠さず話すようにする。質問が出たら真摯に答える。そのやりとりが「次は自分かもしれない」という不安を消し、社員の信頼感を育みことに繋がる。

フィードバックサイクルを生み出し率直さを最大限高める

書面による360度評価の実施で、率直な対話を促します

ポイント

書面によるフィードバックでは、実名を明記する。

フィードバックの内訳は、肯定25%・改善75%を意識する。

このフィードバックは、昇給に影響しない。

自分が受け取ったフィードバックは直属の部下・上司と共有する。

コンテキストによるマネジメントでコントロールをほぼ撤廃する

このレベルでのマネジメントを実践するには、システムが疎結合(緩やかな結合状態)になっていることが必要です。

これは中央集権的なコントロール・プロセスやルール、方針はほとんどない状態であると言えます。

従来のピラミッド型の組織では、トップダウン型の意思決定が、組織のイノベーションを阻んでしまうという課題がありました。

疎結合に最も近いイメージは「」です

トップは根として、幹にあたる上級管理職を支えます。

そして、幹である上級管理職は実際に意思決定をする社員(枝)を支えるのです。

・社員に指示をするのではなく、彼らが優れた意思決定をできるように促す。

あらゆるコンテキストを提供し、議論を重ね、しっかり足並みを揃える。

・ミスが生じても部下を責めてはいけない。自分の設定したコンテキストのどこが間違っていたのかを自問しよう。

「目標や戦略は適切に伝えたか」「部下の想像力を刺激するように伝えたか」「チームが優れた意思決定をできるように、全ての前提条件やリスクを明確に説明したか」「ビジョンと目標について、自分と部下の認識は一致しているだろうか」

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万能ではない

ここまで「自由と責任」について文化の文化を根付かせることを中心に説明してきました。

しかし、「ルールと手順」が必要な場合も存在します

それは以下の3つです。

「社員の安全やセクハラ防止に関わる場合」

「一つのミスが大惨事につながる場合」

「同一の製品を安定的に出荷しなければならない製造業の経営をしている場合」

また、国や地域ごとに根付く文化によっては「自由と責任」の企業文化が馴染まない場合もあるでしょう

一つのカルチャーは決して万能ではありません。

そもそも全てにおいて例外は起こりうるものです。

その時のベストを試み続けた営みがカルチャー(文化)をつくるのだということを忘れずにいたいものです。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

本書は一定以上の力量をつけた人材で構成された組織にはルールよりもコンテキストを与えることが重要であることを教えてくれます。

変化の激しい時代を生き残る企業の取った戦略が、結果的に優れた企業文化を創造したとも言えるでしよう。

フェーズ3の内容については、本書にて一層詳しく知ることができます。

時代の最先端を駆け抜ける大企業NETFLIXの戦略は「自由と責任」のカルチャーを根付かせること。

システムを強化することは個人を大切にすることと深く繋がっているのだと改めて感じさせられました。

私たち自身も自分自身の戦略を持つこと、そしてそれを磨き続けていくことが大切であることを実感させてくれる1冊。

企業の戦略を知ることで、自身の生き方そのものを考えさせてくれる素晴らしい内容でした。

是非手に取っていただけると幸いです。

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