こんにちは、よだかです。
今回紹介するのは「ティラノ部長」です。
ティラノ部長。54歳・肉食。
彼は80年代のバブル時期に入社。
90年代をバリバリ働いて部長になった会社員です。
彼の生活をほんわかしたイラストで描く本作。
知人からお勧めされて手に取り、一気読み!
会社という組織と自分の在り方。
自分を大切にするってどういうことなのか?
組織で働く、働いた経験のある幅広い世代に届いて欲しい1冊です。
この本の独特な点は、各話ごとに「読みツラ度」が設定されていることです。
1〜5まで設定されていて、「読みツラ度」と自分の感じ方を比較しながら読むのも良いかもしれません。
現在、この漫画はオンラインで一部が無料公開されています。
「ティラノ部長」|したら領/鈴木おさむ|cakes(ケイクス)
オンライン会員になると、全話を読むこともできるようです。
ただ、一気に読むなら、やはり書籍版がお勧めです。
「読みツラ度」も、書籍版でのみ設定されています。
本作を読んだ感想を
「ティラノって切ない」
「弱さを知るほど優しくなれる」
「今の時代の正解とは?」
の3項目でまとめていきます。
ティラノって切ない
主人公・ティラノ部長は、ティラノサウルスをモデルにして描かれています。
皆さんは、ティラノサウルスにどのようなイメージを持ちますか?
肉食、強い、体が大きい、食物連鎖の頂点、無敵、、、。
まさにキングオブ・恐竜って感じですね。
80年代からバリバリ働いて身を立ててきたティラノは、まさに無敵の会社員でした。
ところが、50代で部長を務める現在は、ZOOMアプリの使い方に苦戦し、その使い方を部下に聞くのも遠慮してしまいます。
SNSの使い方ひとつにも苦戦し、ようやく作ったアカウントの使い方もよく分からず、、、。
部下のアカウントを見つけ出し、友達申請をすると同僚からは「ハラスメントになりますよ。上司からの友達申請って断りにくいので」などと指摘され焦ってしまいます。
友達申請をしたことを気にかけていないかと、部下本人に尋ねてみると、友達申請はあっさり拒否されていたことが判明。
しかも部下からの返しの一言は「大丈夫です。拒否したんで」とバッサリ。しかもニッコリ笑顔、、、!
これはもうホントに心が折れる。
ティラノ部長、こんなシーンの連続なのです。
元妻と付き合っている人が、医者だったり、部下と上司の不倫の片棒をかつがされたり、、、。
彼が何を糧に生活していくのか、読んでいるこっちが心苦しくなります。
ところが不思議なことに、どんよりと落ち込むような気持ちにならないのです。
どこか可愛げのあるティラノ部長を最後まで見守りたくなります。
彼のことを心から応援したくなります。
それは、ティラノ部長が頑張ろうとしているからです。
不器用ながらも、彼の姿や振る舞い、行動には他者への愛があります。
自分が尽くしてきた会社への愛。
別れた後も幸せになって欲しいという元妻への愛。
認知症を発症して、介護施設で過ごす父親への愛。
年下ながら同じ部長職である同僚への愛。
上司との不倫に傷つきながらも、その関係をなかなか断ち切れない部下への愛。
パワフルに働き続けて、得たものがほとんど何もないように見えるティラノ部長。
けれども、その人生の中で、他者への愛だけは決して失いませんでした。
愛すべきティラノ部長の今後を応援し続けていきたいです。
弱さを知るほど優しくなれる
ここで、一旦冷静になって考えてみます。
なぜ、ティラノ部長を応援したくなるのか?
それは、弱いものを守りたくなるからです。
ティラノは、80年代からバリバリ働いてきました。
当時は、部下や同僚からも慕われていた様子が描かれています。
モチーフがティラノサウルスであることも、良い要素だなと感じます。
倒しようのない強い存在が、いつの間にか衰えてしまっている現状。
かつては太刀打ちできなかった存在が、今やすっかりみる影もない有り様。
そのギャップが、読者の心にティラノ部長の”弱さ”を印象付けるのかもしれません。
かつて強い存在であったからこそ、ティラノ部長の現在の”弱さ”や”脆さ”が際立つのです。
ティラノ部長の”他者への愛”が枯れないのは、彼自身が”弱さ”を知っているからなのです。
個人的に、最も好きな話は「母さん」と「認知症の、父親」です。
この2話、どちらも「読みツラ度」は、最大の5です。
「母さん」では、命と仕事の選択。
「認知症の、父親」では、親への愛。
自分の親とどう向き合っていくのか。
人の子である以上、誰もが抱える悩みについて考えさせてくれる話です。
私自身は、今生きている家族に感謝の気持ちを伝えたくなりました。
今の時代の正解とは?
この本は、”時代における正解”について改めて考えさせてくれます。
最近では、”人生100年時代”と言われ、一つのキャリアにしがみつくことは不正解であるという風潮が強くなってきています。
確かに、テクノロジーの進歩はものすごい勢いで進んでいます。
それに取り残されてしまっては、有意義な人生を送ることができないという雰囲気は強まるばかり。
スマホを持っていなければ、ネットに詳しくなければ、ビジネスチャンスは巡ってこない。
人との関わりまでもサイバー空間に移りつつあり、コミュニケーションの主戦場もリアルな世界以外に出来上がってきています。
ガラケーをチラつかせれば、時代遅れというレッテルを貼られ、オンライン会議をしないなんてナンセンスと叩かれる。
私たちは一体いつからテクノロジーの奴隷になってしまったのでしょうか?
テクノロジーとはあくまで私たちの生活をより豊かで便利にするためにあるはずです。
それなのに、ティラノ部長はテクノロジーによって心を傷付けられています。
テクノロジーが消えてなくれば良いなどというつもりは全くありません。
けれども、テクノロジーに振り回されて傷つく人が増える世の中になることは、絶対に食い止めたいです。
誰もが、自分の中に正解を持っています。
けれども、その正解が、時代の流れと合わないと不正解のように感じさせられてしまいます。
時代に合わない考え方や生き方を断罪する必要はありません。
”たまたま巡り合わせが悪かった”程度に考えみてはどうでしょうか?
そもそも、生き方の正解を決めようとするから苦しくなるのです。
なんらかの結果を出して、大勢に賞賛される人生を送る人の生き方は、確かに輝いて見えるかもしれません。
けれども、その輝きが自分にとっての光なのかどうか、よ〜く考えてみてほしいです。
誰かの示した光を追い求めているだけでは、自分にとっての本当の光を探し当てることは難しいです。
なぜなら、自分にとって心地よい光は自分だけが知っているからです。
自分だけの正解を探し続けるからこそ、人生には生きる意味があるだと感じました。
その中でこそ、自分の求める人生に一歩でも近づいていけるのかなと思います。
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まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
漫画版でサラッと読めて、気づきをたくさん得られる素敵な本でした!
ネット上で一部無料公開されています。
「ティラノ部長」|したら領/鈴木おさむ|cakes(ケイクス)
興味を持たれた方は、ぜひ書籍版を手に取ってみてください!
最後は、ティラノ父の言葉で締めくくろうと思います。
避けようとするな 踏んでいけ