職場や学校などの集団において、信頼関係を作るにはどうしたら良いのか?
言いたいことがあるのに、なかなか思ったように伝えることができなくて辛い。
憧れの行動モデルがあるのに、なかなかその通りに行動することができない。
こんな悩みを抱えたことなないだろうか?
本記事では、NLP(神経言語プログラミング)の考え方を元にして、それらの悩みを解決する方法をまとめていく。
今回は、技術的な側面だけでなく、思考的な側面も併せて解説していく。
参考になれば幸いだ。
この記事を読むと分かること
- 信頼関係の作り方
- 脳に新たなプログラムをインストールする方法
信頼関係を作る方法
信頼関係を作るために大切なのは、ペーシングとキャリブレーション(観察力)である。
相手をよく観察し、相手のペースに合わることが信頼関係を作る土台となるのだ。
先日の記事で、「意識は思考=言葉・言語でできている」「無意識は身体=感覚から作られている」ということを解説した。
【誰でも今すぐできる!】NLP(神経言語プログラミング)を活用してなりたい自分になる Part.1【実践方法まとめ】
信頼関係(ラポール)を形成するには、互いに心を開いて素直な状態素直に受け入れる状態となっていることが土台となる。
無意識は、安全・安心を求めるため危険と感じることには心を閉ざし、安全・安心を感じるとおのずと心を開くようにできている。
例えば、尊敬する上司に言われた事は安心安全を感じているため、言われたことを素直に受け入れることができる。
しかし、大嫌いな上司に言われた事は、安心・安全を感じられない。
体=無意識は、大嫌いな上司とのコミニケーションは危険だと判断する。
言われたことを素直に受けることができなかったり、言われた通りに行動しようと思っても行動が鈍ってしまうということの原因はここにある。
コミニケーションにおいては、「関係を作る能力」が重要だ。
信頼関係を築くことの土台は、相手と自分の共通点をいかに早く見つけそれを話題にしてわかりあえていると感じさせるかどうかということだ。
人間はよくわからないという状態を最も恐れる。
よく分からない状態を分かった・知っているという状態にしてあげることが大切だ。
コミニケーションが上手な人は、相手によく分かってくれると感じさせることが上手な人だ。
ペーシング
相手と自分に共通している部分を発見し、それを相手に分かりやすく示す。
これがペーシングである。
意識すべきは、以下の3点。
1、共通点を見つけて合わせること
2、相手の価値観をさりげなく尊重すること
3、相手の呼吸をよく観察し、それに合わせて呼吸をすること
人は自分のペースでできることを最も大切にしている。
特に「3、呼吸を合わせる」は、効果が高い。
無意識レベルに訴えかけるので、相手に合わせて呼吸ができるようになったら、感覚的にとても気持ちよく感じさせることができるようになる。
相手の呼吸を観察することを、ぜひやってみて欲しい。
ペーシングのポイント
1、姿勢・表情・動作を合わせる
姿勢 | 相手が姿勢を正したら、こちらも正す。ゆったりと座っていたら、自分もゆったりと座る。 |
表情 | 表情を真似る。微笑まれたら、微笑み返す。困り顔をしたら、こちらも困り顔をする。 |
動作 | 相手と同じ動作をする。食事中に、相手が水を飲んだら、自分も水を飲む。 |
このテクニックはミラーリングとも呼ばれ、相手と動作など一致させることで相手に安心感を与えることができる。
やり過ぎると違和感を持たれることになる。
どれか一つを選んで実行するくらいでちょうど良い。
2、声の調子を合わせる
速さ | 相手と同じ速さで話す |
高低 | 声の高低やその変化を相手に合わせる |
間 | 相手と同じ長さの間をとって話す |
大きさ | 相手と同じ位の声の大きさで話す |
これも、やり過ぎには気をつけたい。
初めのうちは、どれか1つを選んで実行しよう。
繰り返し練習するうちに、無意識にできるようになる。
3、呼吸(速さ、深さ)を合わせる
相手の呼吸をよく観察し、それに合わせて呼吸をする。
これができれば、もう他のテクニックはいらなくなるほど効果が高い。
効果が高い分、身につけるのが最も難しいテクニックの一つ。
呼吸は、その人の生き方のペースだ。
頭の回転が速い人は早いペースで生きている。
おっとりしている人はじっくり着実なペースで生きている。
どちらが良いということはない。
自分のペースを乱す人には苛立ちを感じる。
ペースが違う人と一緒にいると、違和感を感じる場合が多い。
相手の呼吸から、その人のペースが分かる。
そこから自分自身のペースを知ることも可能だ。
相手が大切にしている価値観に気づいて心の中でそれを尊重する気持ちを持ちつつ会話するだけで、相手は居心地のよさを感じる場合が多い。
あなた自身もほどよく好感を持っている人との対話では、相手がそのことを口に出さなかったとしてもどことなく心地よさを感じるのと同じだろう。
自分がしてもらって心地よいことを、相手にしてあげよう。
キャリブレーション(観察力)
内面の思いや考えは必ず表面に現れる。
内面の思いは、必ず身体=無意識から雰囲気として発せられている。
微妙な雰囲気の変化や非言語の情報を読み取る観察力のことを、NLPではキャリブレーション(観察力)と言う。
にこやかな会話の中、特定の話題で一瞬眉をひそめたり、会議や面談中に腕組みをしたり、説明をするときに急に早口になったり…。
眉をひそめたのは、その話題に対し嫌だなと感じたり、自分の価値観とかけ離れていると感じたりした証。
腕組みをしたのは、自分のペースや価値観や考え方を守りたい・相手と距離をおきたいという証。
急に早口になったのは、その説明部分に自信がないので早く終わらせたいと感じた証。
非言語におけるコミュニケーションで、相手の心理を知ることができる。
(この本は、深層心理と行動面の繋がりを理解するのに大変有益だった)
キャリブレーション(観察)とペーシングを土台にして、信頼関係を築く。
これらの土台があって初めて、ようやく相手の行動を変化させることができる。
これをNLPではリーディング(誘導)と言う。
信頼関係の形成が全ての土台になっているということを意識しよう。
新しいプログラムをインストールする方法
新たなプログラムは、イメージトレーニングで作ることができる。
動画などでお手本となる人物を繰り返し見る、あるいは特定の分野で自分が成功している(上手く立ち振る舞いすることができている)イメージを見るという手順で新しいプログラムをインストールしよう。
イメージトレーニングには2つの方法がある。
1、見ることを主体としたイメトレ(ディソシエイト)
2、感じることを主体としたイメトレ(アソシエイト)
見るイメトレと感じるイメトレを使い分けることが大切だ。
見るイメトレはディソシエイト。
感じるイメトレはアソシエイト。
ディソシエイトとは外側からモデルを繰り返し観察することだ。
広い範囲で客観的に観察しているので、他人事のように感じられる。
それに対して感じるイメトレはアソシエイト。
五感全てを使ってのイメトレだ。
これは、モデルになりきることを意味する。
自分がとても調子が良かったときのパターンを映像で繰り返し見る。
その自分を第三者視点ではなく、自分自身の視点から思い出して身体感覚的に味わう。
大切なのは、当時体験していた臨場感をできるだけ忠実に再現することだ。
その当時見えていたもの・聞こえていた音や声・体に感じていたものを再現すること。
これらを精度高く行うためには、記憶を外から眺めるのではなく内側に入り込んでその状況にどっぷりつからなければならない。
これがアソシエイトの状態だ。
プログラムのインストールという観点では、この強烈なインパクトが役に立つ。
意図的にアソシエイトすることにより、短時間でプログラムをインストールすることができる。
効果的に新しい形を身に付けるトレーニングとして、ニュービヘイビアジェネレーター(新しい行動の普遍化)というワークを紹介する。
ニュービヘイビアジェネレーター(モデリング)の手順
優れた成果を出している人物を模倣し、新しいパターンとして自分なりに定着させるためのワークだ。コツは、1人で集中できる場所を選ぶことと、手順を頭に入れてから行うこと。
大まかに分けて2つの段階がある。
1、モデルとなる人物をつぶさに観察する段階
2、その卓越した行動をインストールする段階
1、上達したい行動を1つ決める(人前で上手に話すなど)
2、それがうまくできている人(モデル)を思い浮かべる(ディソシエイト)
モデルは、身近な人やタレントなど具体的にイメージできる人の方が良い。
・映画のスクリーンをイメージする。
・そのスクリーンにモデルとする表情・身振り・声のトーンなどを具体的に思い浮かべる。
・その人に自分の欲しい行動を取らせて注意して見る。
(もしうまくいかなかったらモデルを入れ替える)
・自分が望む行動と目の前のイメージが一致したら、フィルムを止める。
3、モデルと自分の映像を入れ替える(ディソシエイト)
・スクリーン上のモデルを、自分自身の映像に入れ替えてみる。
・満足したらフィルムを止める(映像修正しても良い)。
4、スクリーンに入り込み実際に体を動かす(アソシエイト)
・実際に自分が行動してるように体験する。
・見えるものや聞こえる音・声・身体感覚も大切にしながら体験する。
5、十分にイメージが体に焼き付くまで繰り返し体験する
アンカリング
一瞬でパワフルな状態を作り出すのに便利な方法。
自身の体に条件付け(アンカー)を施して、感情から呼び起こされるエネルギーを自在に発揮させることができるようになる。
アンカリングの最大のポイントは、強烈な感覚・感情を作り出して、その上でその感覚・感情が発火する引き金(トリガー)と結びつけることだ。
アンカーとは、強い感情と見るもの・聞くもの・触れるものとの結合でできている。
好ましい条件付けを作り出して、いつでも好ましい状態に瞬時に入ることができる。
パブロフの犬などで有名な条件付けをイメージすると分かりやすい。
アンカリングも短時間でプログラムを作ることができる。
大前提となるのは、強烈な感覚・感情だ。
アンカーとなるのは、強烈な感覚・感情 +五感情報(視覚・聴覚・身体感覚・嗅覚・味覚)である。
発火装置の作り方
1、リソースフルだった出来事を思い出す
この時やる気に満ちて自信満々だった時の体験等を思い出すようにしよう。
2、その時の状況ありありと想い出しなりきる(アソシエイト)
やる気に満ちていた過去の記憶をありありと想い出して当時の自分自身の間を総動員する。
身体感覚的反応が強く感じられるまで体験することが大切。
3、充分に感情ができたら、最も強い感情を感じるピークの直前あたりで、何度か体に触れる
この時必ず同じ場所に同じ圧力で触るようにする。
4、ブレイクステート
一旦、意識を今ここに戻す。
その場で何度かジャンプしたり、力強く足踏みしたりする。
十分に冷静な状態になるまで続ける。
5、アンカリングした場所を、先ほどと同じ圧力で繰り返し触る
成功していれば、アンカーが発火する。
発火しないと感じたら1〜4を繰り返してアンカーを強化しよう。
初めて行った時は、体験した感情が半分ぐらい再現できたら良い。
(精度は徐々に高まっていく)
参考にした本
別記事で、NLPと何か?ということも解説しているので参考にして頂けたら幸いだ。