こんにちは、よだかです。
今回紹介するのは澤田智洋さんの「ガチガチの世界をゆるめる」です。
本書は、物事を捉える思考の枠組みをゆるめてくれます。
そして、「ゆるめる」ということを通して、世の中の人たちが幸せに生きる未来を提案しています。
どの章を読んでも、学びに溢れる素晴らしい1冊でした!
筆者の言葉選びも、とても温かみを感じさせてくれます。
丁寧で誠実、それでいてアツい想いのあるお人柄がはっきりと分かる素敵な内容の本書!
「”ゆるスポーツ”について知りたい」
「思考の枠組みを広げたい」
「もっと柔軟な発想ができるようになりたい」
「違う視点から物事を考えられるようになりたい」
こういった方には、特にお勧めです。
本記事では、特に面白かった部分を中心に
「ゆるスポーツとは?」
「”ゆるめる”ための4ステップ」
「日本独自のスタイル”YURU”」
「マイベスト・喜怒哀楽」
「よだか流・深堀り」
の5項目でまとめました。
著者紹介
著者の澤田智洋さんは、世界スポーツ協会理事長/コピーライター。幼少期をパリ、ロンドン、シカゴで過ごした後、17歳の時に帰国。2004年、広告代理店に入社。映画「ダークナイトライジング」の『伝説が、壮絶に、終わる』等のコピーを手がける。2015年に誰もが楽しめる新しいスポーツを開発する「世界ゆるスポーツ協会」を設立。これまで80以上の新しいスポーツを開発し、10万人以上が体験。その他にも、福祉領域におけるビジネスも多数プロデュースしている。
「ゆるスポーツ」とは?
あなたは、「ゆるめる」という言葉にどのようなイメージがありますか?
本書では、これまでの常識を疑って、新しい枠組みを創ることが提案されています。
その先駆けとして紹介されているのが、「ゆるスポーツ」です。
YouTubeに動画が上がっています!楽しそうですね!
スポーツが苦手な人でも、スポーツを楽しめるように工夫する。
そのためには、ガチガチに固まった枠を外していく必要がある。
ここには、著者自身の原体験が色濃く反映されています。
スポーツを心から楽しめなかった幼少期の経験が、ゆるスポーツ開発の動機になったのです。
また、ゆるスポーツが生まれるまでには、他にも「息子さんの目が見えないこと」「ブラインドサッカー協会との出会い」「障害者をブランディングすること」「そこから生まれたキャッチコピー」などの経緯があります。
「ゆるめる」ことは、そのモノの本質に迫る作業であることも述べられています。
「ゆるスポーツ」を体験することで、「ゆるめる」という感覚を「身体」で理解することができそうですね!
ゆるスポーツの5要件
1.「老・若・男・女・健・障」誰でも参加できる。
どんな立場の人でも、参加できること。
そこには参加の壁は存在しない。
2.勝ったら嬉しい。負けても楽しい。
勝ち負けという枠から自由になる。
勝敗の結果に関わらず、参加者全員がポジティブな感情で終わることができるようにすること。
3.プレイヤーも観客も笑える。
プレイ中にたくさんの笑顔が生まれるように工夫する。
反則や失敗が生まれやすいルールを作って、それらが笑いにつながるように仕掛ける。
4.第一印象がキャッチー。
ネーミングセンスは超重要!
初めて知った人に「何それ!?面白そう!」と感じてもらえるような競技名を考えること。
5.何らかの社会的課題の解決につながっている。
参加・開催を通して、世の中の何らかの課題を解決に導くこと。
例えば、ハンぎょボールは「地域ブランディング」と「生涯スポーツ」の可能性をつないでいます。
”ゆるめる”ための4ステップ
ガチガチなものをゆるめる方法は以下の4ステップです。
1.自分が排除されているものを探す
あなたの人生で苦手なものを挙げてみましょう。
上手くやれることが多いと感じる人でも5つくらいあげてみることをお勧めします。
私の場合は、こんな感じ。
・他人との勝ち負けがつくこと
・大人数の飲み会
・他人とペースを合わせて仕事をすること
・狭いスペースでの作業
・図書館で本を読むこと
2.そのものの本質を見直す
次に、それらの本質について考えいきます。
ここでは「大人数での飲み会」を例に挙げていきます。
飲み会に求められているものは何でしょうか?
「食事」「人とのやりとり」「お互いが思っていることを共有し合う場づくり」「人間関係を構築するチャンス」「普段は言えないことを言う場」「普段は聞けないことを聞く場」「普段は喋らない人と接する」などなど、、、。
どうやら「飲み会」の本質は「”普段と違うコミュニケーションの場づくり”にありそうだ」ということが分かってきました。
3.なぜ排除されているか「非ゆる」をリスト化する
ここから、考えるのは「なぜ自分はそれが嫌いなのか」です。
以下は、私が大勢での飲み会を嫌いな理由です。
・お酒が苦手だから(お酒を飲むと気分が悪くなる)
・アルコールで思考が回らなくなるから
・アルコールが入ると、食べ物をきちんと味わえなくなるから
・時間を奪われたと感じてしまうから
・人の話を長く聞き続けることが苦手だから
・人とのコミュニケーションにラフさを求めていないから
(もっと詳しくできますが、今回は短くまとめました)
4.本質を残したまま非ゆるをつぶす
嫌いな理由を洗い出してみると、自分が物事をどのように捉えているかが分かります。
「お酒が苦手」であることは、体調面の問題ですので、それを周りにきちんと伝えて、摂取を控えるようにする。
これで「思考が回らなくなる」「食べ物を味わえない」も解決します。
残りの3つの課題「時間」「話を聞く」「ラフなコミュニケーションが苦手」について考えていきます。
これは、まず私自身が相手への関心が薄いことが原因です。
ここで考えられる方法としては「飲み会の場を私自身が喋る場にデザインしてしまう」ことが挙げられます。
そもそも、相手のご機嫌を伺ったり、お世話をしたりといった”受けのコミュニケーション”が苦手なのです。
ならば、いっそのこと思い切って”攻めのコミュニケーション”の場として飲み会をデザインし直してしまうのです。
これならば、最後まで無理せず参加して、お酒で気分も悪くなることもなく、”発信サイドのコミュニケーションの場”として飲み会に参加できそうです。
あくまでクリエイトする権限がある場合の話ですので、自身のもつ権限に応じて、できることは変わってきます。
この発想の根っこにあるのは、自身のできる環境デザインに力を注ぐということだと感じます。
日本独自のスタイル「YURU」
「YURU(ゆる)」は、日本ならでは考え方です。
あなたは、外国の方に「YURU(ゆる)」をどう説明しますか?
本書では、本当に様々な意味を含む言葉として「YURU(ゆる)」を定義しています。
筆者は「YURU」を「誰でも受け入れるのに遊びがある」という定義をしています。
あらゆるものを「ゆるライズ(ゆる化)」してきたのは、日本独自の文化です。
例えば仏教の「ゆるライズ」。
もともと仏教には、厳しい決まりや修行があります。
それらを通して、ブッダの辿り着いた「悟りの境地」に至るという目的があるからです。
しかし、日本に仏教が渡ってきた後、浄土真宗という宗派が生まれます。
浄土仏教は、ストイックな修行を色々な理由でできない「弱者」のための仏教です。
自分たちの国民性に合わせて「ゆるめる」という変化は、日本人のもつ文化の一つです。
また、「良い意味で隣人に無関心」なことも「YURU」です。
隣の家の人がどんな信仰を持っていても受け入れる。
八百万の神の中から自分に合うものを選べば良い。
寛容ともまた違った精神の在り方で、これも「ゆるい」という表現がしっくりきます。
重要なのは、日本人が「ゆらぎ」をつくるマインドを精神の根底に持っているということです。
ゆるは、緩(ゆるい)と許(ゆるす)と聴(ききいれる)を併せ持っているのです。
【疑いながら、理解する!?】他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ【ブレイディみかこ】
マイベスト・喜怒哀楽
社会人として過ごす上で、自分を知る方法の一つとして紹介されているのが「マイベスト・喜怒哀楽」を作るというものです
これまでの自分の人生で一番喜んだこと、怒ったこと、悲しかったこと、楽しかったことを思い出してまとめてみましょう。
特に注目したいのが、怒や哀などのネガティブな出来事です。
実は、ネガティブな面が更新されると、それに伴ってポジティブな面が更新されるのです。
ネガティブなことを知ることで、その対極にあるポジティブな出来事のありがたみも理解できるのですね。
定期的に振り返って更新し続けていくことで、人生のネガティブな面とポジティブな面を同時にアップデートしていきましょう。
マイベスト・喜怒哀楽を作ると、自分らしさが必ず見つかります。
普通じゃない自分を掘り起こしていく作業をぜひ経験してみてください。
「強さは一律、弱さは多様」
自分自身の抱える弱い部分にこそ、ゆるさを広げていくチャンスが隠されているのです。
よだか流・深掘り
原体験はクリエイトの原動力!
何かを創り出す原動力は、本人の原体験です。
小さな頃から積み重ねてきた数々の経験が、今の自分の判断基準になっています。
自分では意識できないレベルで、様々ことを判断しているので、自分のことを理解することは本当に難しいです。
しかし、自身の中にある判断基準の理由を掘り下げていくことで、自分自身が何を望んでいるのかが少しずつ見えてきます。
時には、自分自身を認めたり受け止めたりするのが怖くて、辛い気持ちになることもあるでしょう。
自分が望んでいることに向き合う作業は、辛い経験を伴う場合があります。
そして、それらを経験した先にこそ、自分の描く理想像が見えてくるのです。
目の前に現れた辛い出来事も、自分の人生に意味があって起こったこと。
そう受け止めるだけのしなやかさが「ゆるさ」の一つであると感じます。
ゆるめる過程で世界が鮮明になる
曖昧(あいまい)なままで理解するために、自分を掘り下げていくのだということを感じました。
「ゆるさ」とは「赦す」ことでもあります。
”そのままでいいのだ”と良い意味で諦めて、”真っ向から戦うのをやめる”。
物事をゆるめる過程で手に入る心の余裕は、自分自身と争うことをやめるヒントになります。
世の中の出来事に判断を与えているのは自分自身。
せっかくなら、出来事に対して、偏った解釈をするのをやめて、様々な角度から味わう人生を送りたいものです。
「ゆるさ」を広げた解釈をし続けることで、物事の捉えの幅を大きく広げ、出来事を楽しむ心を育てていくことができると感じました。
【思考を回すにはまず◯◯!】観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか【佐渡島 庸平】
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
今回紹介させていただいたのは、本書の内容の3分の1程度です。
この他にも、職業観をゆるめることやニューマイノリティを探す視点、自分自身の標準をゆるめることなどについて書かれています。
内容もさることながら、言葉の選び方や文章の構成にも温かみを感じられる素敵な本でした。
一度読んだだけでも、筆者の人柄が伝わってきて、自分の思考に新しい道を示してくれる1冊!
おすすめの本ですので、ぜひ手に取っていただければと思います。