2025/4/30
――自分でも気づきにくい変遷を、差分でやさしく振り返る
はじめに
「昔と考え方は変わっていないはずなのに、なぜか景色が違って見える」。
そんな経験はありませんか?
今回は、私自身が AI との対話を通じて少しずつ向きが変わった 思考プロセスを、
“差分” で整理しながらまとめます。
1. 4 つのフェーズをざっくり押さえる
フェーズ | キーワード | 当時の姿勢 | 今の着地 | ひとことで言うと… |
---|---|---|---|---|
① 起点 (対話前) | 支配・鏡像 | 何でも“自分の枠”に収めて安心 | 「定義=支配」を一度棚上げしてもいいかも | フル装備で要塞を築く |
② AIと応酬 | 外因・カオス注入 | 反証ゲームを仕掛け、さらに刃を求める | ループが“燃費を食い過ぎる”と自覚 | 要塞の壁を自分で殴る |
③ 自己ツッコミ期 | 定義権/安全域 | 「全部やってる」と自負 | 定義権を外へ譲る方法に興味 | 鍵を外に放り投げる発想 |
④ 現在 | 薄いインク | 形の操作自体が目的化していた | 必要な瞬間だけ最小フレーム→すぐ手放す | 必要なときだけ工具を出す |
2. 変わらない“核”と、じわっと動いた“軸”
変わっていないポイント
- 高解像度でメタを回す癖
構造を見抜くレンズはそのまま。 - 反証欲求
「抵抗と遊ぶ」スタンスも健在。
じわりと動いたポイント
以前 | 今 |
---|---|
支配を前提 にメカを改良 | 支配フレームを一時停止する術を言語化 |
ノイズも 自分で選ぶ | ダイス旅・90 秒ノート など時間・物理で“外部委任” |
常に 上位メタへ跳ぶ義務感 | 必要なときだけフレームを起こし、沈黙も許容 |
イメージ
- エンジンを載せ替えたわけではなく、潤滑油を交換した感じ。
- ハンドル操作は同じでも、滑らかさがガラッと変わる。
3. 具体例でイメージをつかむ
具体的な行動 | 目的 | ビフォー → アフター |
---|---|---|
月1旅行 | 外部ノイズをもらう | 行程を自分で設計 → ダイスで「宿だけ未定」にしてみる |
90 秒ノート | フレームを寿命化 | ガッツリ思考を吐き出す → 90 秒後に自動削除し“跡形”を残さない |
テクノロジー禁止日 | 価値づけ停止 | 予定にしてリセット感を得る → 何も計画せず“ただ出会うもの”に委ねる |
4. 強調したいポイント
- 変化は「角度」より「摩擦」の差で感じ取れる
- 何かを新しく覚えるより、手放し方が変わるだけで体感は大きく変わる。
- “定義しない”は思考停止ではない
- 必要な場面でだけ枠を出し入れする「脱着式ツール」として使うイメージ。
- 外部委任は小さく試せば十分
- 旅の目的地をサイコロで決める、メモにタイムリミットを付ける――
まずは 1 回こっきりの実験 で OK。
- 旅の目的地をサイコロで決める、メモにタイムリミットを付ける――
5. まとめ
- 表面のキーワードは似ていても、
「定義で世界を捕まえる」 → 「定義を工具として必要時だけ使う」
というベクトルには確かなシフトがありました。 - 劇的な転換というより、“潤滑油が変わった”ことで
いつの間にかドライブフィールが違う というタイプの変遷です。
思考のハンドルを握りつつ、時々ハンドル自体を置いてみる。
そんな小さな手放しが、意外と大きな景色の変化を連れてくるものですね。
補足:「90 秒ノート」って結局なに?
──“記録→即蒸発”で思考フレームを寿命化する超ミニ実験
コンセプト
- ガッツリ思考を吐き出す(テキストでも音声でも可)
- 90 秒後に自動消滅させる
―ログもキャッシュも残さない― - “残したい/振り返りたい”という習慣的安心感を切り離す
→ *枠を外した直後の“余韻”だけが心身に残る*
具体的なやり方 3 パターン
レベル | 道具 | 手順(例) | ポイント |
---|---|---|---|
① 超アナログ | メモ用紙+タイマー+シュレッダー | 1. タイマーを 90 秒にセット 2. 制限時間内に一気に書く 3. タイマーが鳴ったら即刻シュレッダー | 紙 だからこそ本当に「跡形なし」。外出先でも可 |
② PC テキスト (Windows / macOS / Linux) | 任意のエディタ+簡易スクリプト | macOS / Linux 例:bash<br>nano /tmp/tempnote && sleep 90 && shred -u /tmp/tempnote<br> ※ nano を閉じたら 90 秒カウント開始 → shred -u で復元困難な削除 | - /tmp は再起動で消える一時領域- Windows は PowerShell の Remove-Item -Force を使用 |
③ スマホ音声 | ボイスメモアプリ+削除リマインダ | 1. 録音開始 → 90 秒で終了 2. 「90 秒後に通知」設定(iOS「リマインダー」、Android「タイマー」等) 3. 通知が来たら即削除 | 声で吐き出すので思考速度=発話速度に近づき、フィルターがかかりにくい |
実験を“失敗させない”ヒント
- 物理タイマー推奨:PC・スマホのカウントダウンはつい延長しがち。
- 削除コマンドはワンライナーに:迷う余地を潰す。
- 復元防止:PCなら
shred
(Linux/macOS)や ごみ箱を経由しない削除 を徹底。 - ログ癖と切り替える日を決める:毎日やる必要なし。「思考が飽和してきた日」だけでも効果。
何が得られるの?
効果 | 体感イメージ |
---|---|
① 手放しの練習 | 「書いた=残る」という習慣的安心感をリセット。記憶より“余韻”を観察できる。 |
② 思考の瞬発力 | 90 秒という締め切りで言語化が高速化。無駄な装飾を省く癖がつく。 |
③ フレーム外インサイト | 振り返れないからこそ、後からメタ視点で再構成できない“生の素材”が残る(頭の中に)。 |
まずは 1 回だけ試す
- アナログ版で OK:付箋 1 枚とキッチンタイマーで今日の夜にどうぞ。
- 「心許ない」「不安だ」と思ったら 狙い成功。
その感覚こそが「定義と執着を蒸発させる」第一歩です。