読書

【何歳からでも遅くない!】 書き方講座の原点にして頂点

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20歳の自分に受けさせたい文章講義【古賀史建】を読了。

ノウハウ本にとどまらない学びを得ることができる良著だった。

どんな本?

たたき上げのフリーライターとして活躍する著者が「いい文章」を定義づけてそれを書くための方法を丁寧に解説する本。
読み物としても大変面白い。

著者の思いがここまで詰まったノウハウ本は珍しい。
いい文章」とは「読者の心を動かし、その行動までも動かすような文章」のことであるという言葉がとても印象深かった。

自らの才能を問う人は”諦めの材料を探しているだけだ”」という言葉も心に響いた。

ノウハウ以外にも素敵な言葉にたくさん出会える本。
もっと早くこの本に出会いたかったと思ったのは久しぶりである。

ぜひ手に取って読んでいただきたい。

得られるもの

良い文章のポイント
良い文章を書くために意識すべきこと
「書く」ことのパラダイムシフト

こんな人におすすめ

話せるのに書けない人
自分の文章に自信がない人
良い文章が書けるようになりたい人

内容

まず、翻訳せよ
書けないと悩む人には2種類いる。

①書こうとすると固まる

②気持ちを上手く文章にできない

①書けないと悩んでいる人は意識の切り替えが必要だ。
頭の中にある「ぐるぐる」を伝わるよう翻訳したものが文章だ。
誰かに何かを伝えたい、繋がりたいと思うからこそ”翻訳”をしなければならない。

②本を読んで「あー、面白かった」などのように自分の気持ちを上手く言葉にできない人は、聞いた話を自分の言葉で誰かに話すと良い。
答えがないから書けないのではなく答えを得るために書くのである。書くことは思考することだ。
分からないことがあったらまずは書こう。書いていくうちに分かるようになる。
”翻訳”のトレーニング
・聞いた話を自分の言葉で誰かに話す
メリットは3つ

  • 話の内容をもう一度組み立てることができる
  • 語り手の真意を再発見することができる
  • 聞き手(自身)の感じ方を知ることができる

・地図・写真・絵を言葉だけで表現する

条件は自分の意見を一切入れないこと
言葉ではないものを主観を入れずに再現することができるようになる



文体とはリズム

読みやすい文章に共通するのはリズムが良いということだ。

良いリズムを生み出すのは論理展開である。
接続詞を意識して論理破綻を防ごう。
美しい文章よりも正しく伝わる文章を優先しよう。
主観を語るにはまず客観を保つ意識をもつべし。

視覚的リズム

文章は目で読ませることを意識して書こう。

①句読点は1行に1つは入れよう
②最大5行をメドに改行しよう
③ひらがな(白)の中に漢字(黒)を置く

読者は目で読んでいる読まないというカードをいつでも切る権利があることを忘れずに。

聴覚的リズム
リズムを確認するために音読をしてみよう

①読点(、)の位置は適切か
②言葉が重複していないか

書き終えた後の「小さなひと手間」が大きなリターンになる。

断定の使い方

断定の前後は論理で固めよう
断定は諸刃の剣だ。効き目も高いが反動も大きい。

強く言い切ることで反論も生まれやすい。

そこで、断定の前後2〜3行は最新の注意を払って論理で固めよう。



構成には「眼」を使え

文章の面白さ構成で決まる。
文章のカメラワークを考えると良い。

①導入は客観のカメラで状況説明
②本編は主観のカメラで自分の意見・仮説
③結末は客観のカメラでまとめ

特に導入が大切。

導入がつまらないと読んでもらえない。

①インパクト優先型
 冒頭で気になることを書いて惹きつける
②寸止め型
 大事な部分はあえて隠すことで読者の気を引く
③Q&A型
 読者に問いかけて、答えに導く。最もオーソドックス。

論理的な文章3層構造になっている。

①主張
 その文章を通じて訴えたいことがあるか
 結局何が言いたいんだという問いに一言で答えられなけれならない。

 反論が怖いならそもそも文章など書かないことだ。
②理由
 主張を訴えるに足る理由があるか
③事実
 理由を補強する客観的事実があるか
 ②③が欠けると詰めの甘い文章になってしまう。
 ①〜③がしっかりと連動しているかをいつも意識しよう。

面倒くさい細部を書くべし
ここをやらずにいる人が多い。

本当のリアリティは日常の何気ないところに転がっている細部を描写することによって生まれる。

差をつけたいのなら細部にこだわろう。
図解・可視化して文章の「流れ」と「つながり」を明確化しよう。
私はマインドマップアプリで構成を整理しているが、これはとても有効だと感じている。

並び替えも簡単にできる。


読者の椅子に座っているか?

あらゆる文章には必ず読者が存在する。
読者を同じ椅子に座るというのは同じ立場で見える景色を一緒に見るということ。
想定すべき2つの椅子

①10年前の自分
 今もこの瞬間にこの世のどこかに10年前の自分がいる。

 人間はどんな時代も同じことで思い悩むものだ。

 「伝えたい」という思いが強烈にあるので、この土台に立って書く文章は強い。
②特定のあの人
 超具体的に人物像を設定して書く。

 年齢・性別・収入・住まい・学歴・職業・ライフスタイルetc。

 書くべき対象がはっきりすると他の人にも届きやすくなる。

やさしく書くのが一番難しい
小学生にも分かるような言葉で書こう。
深く理解していればいるほど自分の言葉でやさしく説明できるようになる。
「文章上達のためには多読が良い」というのは一部真実だ。
生理的に嫌いな文章に注目しながら多読しよう。

”書き手としての自分”が見えてくる。

「嫌い」には「好き」以上の深い気づきが眠っている。

読者を納得させるのが良い文章
自分のことのように感じてもらえる文章を書こう。

①引きのアプローチ 
 読者に歩み寄ってもらえるような言葉を選ぶ。

 思わず欲しくなるように誘導しよう。

 セールステクニックにも通ずる部分がある。
②仮説&検証のアプローチ
 読者に「この仮説についてどう思うか」と問いかけて、一緒に検証作業にあたる。

 人はミステリー的な要素に引き込まれやすい。
③起”転”承結で巻き込む
 一般論をすぐさま否定して、この後の展開に吸い寄せる。

 冒頭には書き手の主張と真逆の一般論を持ってくる必要がある。

文章はコミュニケーション
自分の頭で分かったこと以外は書いてはいけない。
「小さなウソ」はすぐバレる。

誠意をもって書こう。

細部にどれだけこだわるかが最も重要だ。


ハサミでバッサリ切り落とせ

推敲とは編集作業だ。

「もったいない」と感じた部分は書かないでも良いかもしれないと考えよう。

読者が評価するのは、あくまで面白さ・読みやすさ・内容だ。

あなたがどれだけ頑張ったかではない。

元ネタの編集作業もとても重要だ。

書く前から引き算の発想を持とう。

①キーワードを10個書き出す
②①とは異なる傾向のキーワードを10個書き出す
 ①の作業だけでは、文章の”伸びしろ”がなくなってしまう。

 ②の作業を通してより広範な内容の文章が書けるようになる。
 「自分自身を疑う力」を鍛えるトレーニングにもなる。

編集のポイントは映画に学ぼう
編集の見事な映画には、この場面にこのカットである必然性が溢れている。
なぜこの一文なのか」「なぜここに一文が入らないのか」をしっかり説明できるようになろう。
最も辛いのは「文字だけを追わされる文章」だ。
図に書き起こすことはできるか」「映像が思い浮かぶか」ということを意識しよう。


まとめ

気持ちを翻訳しよう
リズムを意識しよう
構成には「眼」を使おう
読者の椅子に座ろう

書かないことを決めよう

アクションプラン

一つずつ真似して書く
元ネタの編集作業をする
インプットを加速させる

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