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【未来をつくる全ての大人へ!】学びと生き方を統合する Society5.0の教育【柳沼 良太】

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こんにちは、よだかです

柳沼 良太さんの「学びと生き方を統合する Society5.0の教育」を読み終えたので、内容・感想をまとめていきます。

著者の柳沼 良太さんは、大学院で教鞭を取り、学習指導要領解説「特別の教科 道徳」の作成などに関わると同時に、国内外の学校を訪ね歩く研究者として活動されている方です。特に「道徳」についての研究に深く携わっているようで、本書以外にも教育関連の著書が多数あります。


本書の内容は、非常に濃いものでした。読み終えた後に「さぁ、まとめるぞ!」と意気込んだものの、あまりの内容の濃さにどこを抜き出すべきかかなり悩んでしまいました、、、。久しぶりにまとめがいのある本に出会えた幸運に感謝です!

それだけ深く、本質的な内容だった本書。

今回はぎゅっと凝縮して本書の第1部「理論編」「第1章」「第2章」

「Society5.0時代とは?」

「子供達に何が起こるのか?」

「Society5.0における課題」

「突破口はサイコエデュケーション」

「脳科学を学べ」

の5項目でまとめました。

次世代の日本の教育に求められているものは一体何なのか?

それでは早速紹介していきましょう!

Society5.0時代とは?

■IoT(Internet to Technology)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、新たな価値が生まれる

■AIにより、多くの情報を分析するなどの面倒から解放される

■少子高齢化、地方の過疎化などの課題をイノベーションにより克服する

■ロボットや自動運転車などの支援により、人の可能性が広がる

テクノロジーの進化によりSociety5.0時代が到来し、私たちの生活は激変しました。

経済働き方、そして教育、、、。

かつて無いほどの速度で変化し続ける時代の中で、子供達はどのように育っていくのでしょうか?

子供達に何が起こるのか?

現在、子供達は幼少期からスマートフォンや通信型ゲーム機器などの多様なメディアを用いて、バーチャルリアリティに慣れ親しんでいます。

例としては、友達の家に直接遊びにいくのではなく、それぞれが家にいながら同じゲーム内のプラットフォームに集合して遊ぶということが当たり前になっていていることなどが挙げられます。

つまり、現代の子供たちにとっては、バーチャルなコミュニケーションは自然なことなのです。

一見便利そうですが、ここには大きな問題があります。

それは、子供達の自己の多重化です。

サイバー空間でのコミュニケーションは、アイデンティティの確立を妨げます。

サイバー空間で求められるのは「そのゲーム内での役割」や「そのコミュニティ内でのキャラクター」であるため、その場その場での非常に限定的な自己像が形成されます

ところが現実のフィジカルな世界では、同時に様々な役割を求められます。

生徒・子供・兄弟・友人などの多くの自己像を複合的に求められているのです。

どちらの負担が軽いかというと、当然サイバー空間ですね。

仮想現実は多重化しているわけですから、サイバー空間で過ごす時間が長くなるほど、子供たちの自己像は「断片化して拡散されたもの」になっていくのです。

これのマズい点は、サイバー空間で過ごす時間が増えることで、子供達が「これこそが私だ」というアイデンティティを確立しにくくなるということです。

多重化した自己像を抱えたままでは「自分は何者なのか」「人生で何をしたらよいのか」が分からなくなったりします。

また、「かけがえのない自分」への関心が薄くなると、他人に対しての関心も薄くなり、コミュニケーション能力や対人関係能力も乏しくなります

他にも以下のような弊害があることが、様々な調査結果から明らかになっています。

■自分には価値がないと思い込む

■自分や仲間の個人情報を簡単にネット上に公開してしまう

■周囲の大人(教師や保護者など)に対する尊敬の念を持てなくなる

■SNS上での悪口や強制的なメンバーはずしを簡単に行うようになる

■仮想現実での感覚をそのまま現実に持ち込んでしまい、生身の人間とのトラブルになる

さらには、近年のアンケート調査によると現代の子供たちには「主体性に乏しい」「自信がない」「キレやすい」という性質が見られます。

自分が確かに生きているんだという実感を持ちにくいということがSociety5.0を生きる子供たちの課題です。

その解決策として「プログラミング教育」と「STEAM教育」に注目が集まるようになってきました。

【プログラミング教育】

プログラミング的思考を育むことを目標とする教育。

プログラミング的思考:「目的を達成するためにものごとを順序立てて考え、結論を導き出していき、それを計画的に実行する考え方」

【STEAM教育】

現実の問題を解決に導く力・想像する力の育成を目標とする教育。

STEAMとは科学(Sience)技術(Tecnology)ものづくり(Engineering)芸術(Art)数学(Mathematics)の頭文字を組み合わせた造語。

Society5.0における課題

格差をいかに是正していくか

・情報化が進展し続けているため、情報の操作が苦手であったり経済的な余裕がなかったりして、これらを導入できず取り残されてしまう人達がいる

情報格差経済格差学校の地域間格差家庭の経済格差は現在も広がり続けている。

情報モラル教育をどのように進めていくか

サイバー空間でのトラブルや犯罪は見えにくいことが多い

・情報モラル教育や法教育、ネット上の買い物に関する消費者教育や安全教育が必要。

グローバル化の問題

多様な価値観の対立が起こったり、諸外国から移住してきた人々が日本の文化に対応できず困っていたりする

・異質な他者と協働して相互の文化を理解し合い尊重し合うコミュニケーション教育が大事になる。

これら3つの課題は、そもそも前例がないか、あっても乏しいだけに、分かりやすい一つの模範解答をすぐに出すことができません

だからこそ、「答えが(一つでは)ない問い」に向き合う学びが必要になってくるのです。

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突破口はサイコエデュケーション

科学技術がどれほど発展しようと、人間の成長は環境との相互作用に基づいていることは普遍的な原則です。

教育の目的は「人格の感性を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形勢者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」です。

そしてその目的を達成するために

①幅広い知識を教養を身に付け、真理を求める態度を養い

②豊かな情操と道徳心を培うと共に

③健やかな身体を養うこと

を目標に掲げています。

「知・徳・体」をバランスよく育てられるよう取り組むことが教育現場に求められています。

これまでの教育は、知育に偏重する傾向がありましたが、それはバランスを欠いたものでした。

知識偏重型の教育では、無意識下で発揮されるポジティブなマンドセットを形成することが難しいという課題が残ります。

良い習慣を作ることで無意識下で作用する部分を育もう」というのがサイコエデュケーションという視点からのアプローチなのです。

思考や行動をコントロールしているのは、人間の「心・精神・魂(サイコ)」と呼ばれる部分です。「サイコ(Psysho)」とはもともと古代ギリシャ語で”息(呼吸)”が語源です。”息”から転じて”生命”を、やがて”霊魂、精神、心”を意味するようになりました。人間の内面にある「頭・心」と外面にある「身体」との中間にあって、両者をつなぐ役割を果たすものと考えられています。

簡単にまとめると、サイコエデュケーションの要諦は

人間の思考・心情・行動は繋がっているのだから、

良い習慣形成を促すように、

あらゆる場面で継続的に働きかけるようにしましょう

ということです。

習慣を形成するために大切なのは以下の4つです。

何をやるのかという知識

なぜやるのかという価値

どのようにやるのかという技能

どれほどやりたいのかという動機

習慣を形成するのは日々の行動です。

自身の行動をコントロールするには、それ相応のテクニックがあります。

本書の後半では、様々な実践方法が紹介されています。

詳しい紹介は本書に預けますが、大人に向けて書かれたビジネス書などからも応用できる部分が多いので、それらから学んでみるのも良いでしょう。

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脳科学を学ぶべし!

サイコエデュケーション脳科学を関連づけると、教育において意識すべきことが3点挙げられます。

①脳に快の刺激を与える

子供がよりよく生きようとする意欲・関心・態度は、脳内のホルモンや脳の機能と関連しています。ドーパミンやβ−エンドルフィンは脳に快感をもたらし、ストレスや痛みを和らげ、想像力や思考力を高めます。

セロトニンやオキシトシン(別名「幸せホルモン」)は愛情、自由、自己実現などから生じる幸せを感じさせてくれます。これらのホルモンは、脳の奥にある脳幹から出ています。

脳幹は人間の生命活動(呼吸・血液循環・体温調節・反射機能など)も司っています。呼吸や血圧、体温調節などの生理現象を食事や睡眠、運動などによって整えることによってホルモンの発生をある程度コントロールすることも可能です。

②内発的動機付けを与える

行動自体に興味・関心を持つようにして、好奇心から主体的に問題を解決できるようにしましょう。子供自身が自分にワクワクするような良いイメージを与えることで、快の状態を作り、望ましい行動を持続させ、習慣化していきます。内発的動機付けをうまく活用すれば、長期にわたって自身のうちから湧き出るものを行動のエネルギーにすることができるようになるでしょう。

※これとは別に従来型の教育で盛んに用いられた「外発的動機付け」というアプローチもあります。望ましい行動を褒めたり、褒美を与えたり、望ましく無い行動を叱ったり、罰を与えるという方法です。短期的には効果を発揮しますが、長期に渡ってこのアプローチを続けると「大人の言うことには素直に従うが、主体性がなく、自己肯定感の低い、学習の嫌いな子供」が育つ傾向があります

右脳である種の体験を思い浮かべるだけで(実際には経験していなくても)それを現実に達成した時と同様の快感を得られることが分かっています。これは、脳が現実とイメージの区別がつかないことが原因です。こどときはがゲームに長時間熱中してしまうのも、このメカニズムが働くためなのです。

③超意識(魂)=扁桃体に働きかける

魂というとややオカルトじみてきますが、ここでいう魂とは脳の中にある扁桃体という部分のことです。扁桃体は楽しい、楽しくない、好き、嫌いなどの本能的な感情を発信する源です。扁桃体に快を与える行動を意識的に取り入れるようにしましょう

人間の行動の95%以上が無意識から強い影響を受けています。新しいことを習慣化するのを妨げるのは無意識の力です。この無意識よりも強い力を発揮するのが超意識(魂)=扁桃体です。

扁桃体は大脳辺縁系(本能・欲望・感情を司どる)と脳幹(ホルモンを出している)を結びつけています。扁桃体に快を感じさせるような行動を繰り返すことは、無意識レベルの感情やイメージも肯定的にして、体全体を活性化することにもつながります

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まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

まとめた内容は、本書の3分の1程度です。

後半からは「資質・能力観への歴史的アプローチ」と続き、「子供の資質・能力を育む実践例」が豊富に紹介されています。

非常に濃い内容で、日本の教育がどうあるべきなのか考えを深める機会になりました。

また、理論に基づいて(私の大好きな)脳科学へのアプローチへ導いてくれるため、次への学びの必要性も意識させる内容でした。

教育現場の人間のみならず、教育に携わる全ての人に届いて欲しい1冊です。

教育は未来を創ります

過去を生きた人々が未来の私たちにバトンを繋ぎ続けてきたからこそ、私たちの今があるのです。

未来の社会の担い手は「今、教育を受けている子供達」です!

自分たちが暮らす国の教育事情にアンテナを貼っておくことで、今自分自身がやるべきことを見つめ直すきっかけにしていきたいですね。


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