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【我々が生存機械である理由】利己的な遺伝子 やさしく解説Part.1【リチャード・ドーキンス】

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どうも、よだかです。

あなたは「利己的な遺伝子」という本をご存知ですか?

本書の概要をざっくり説明すると「私たちは、遺伝子を保存するためにやみくもにデザインされた生存機械」であるということです。

非常に重厚な本ですが、長年ベストセラーとして名を馳せており、最新のものだと40周年記念版まで出ています!

これだけ売れ続けている本からの学びは、必ず実のあるものになるはず!

生き物の起源に迫ることで、事実を正しく認識する力が養われます。

非常に重厚な本書ですが、1章ずつ丁寧に解説をしていきますので、最後までお付き合いくださいね。

この本・記事を読んで欲しい人

・利己的な遺伝子を読んでみたい

・生物の起源を知りたい

・進化の本質を理解したい

初めの1章は、本書の読み方についてまとめられています。

内容について知りたいという方は、第2章から読み進めても良いかもしれませんが、あらかじめ本書を読み解く土台を作っておくことで、間違った解釈をしてしまうことが防げるので、第1章にも目を通しておくと良いでしょう。

人はなぜいるのか?

私たちが存在する理由を考えたことがありますか?

なぜ、私たちが今この姿で地上に存在しているのか?

その答えを初めて明確に出したのは、ダーウィンでした。

彼は、その進化論の中で生き物の変化が自然淘汰によるものであると述べています。

環境に適応する種が生き残ることを”進化”と定義したのですね。

この説は、現代でも説得力があり、多くの人が信じています。

重要なのは、この説が正しいかどうかではありません。

ダーウィンの述べた説は、知的な生命体がその知性を成熟させた条件として、”自己の存在を初めて見出した瞬間”として価値を持つのです。

それまでは、私たちは「なぜ自分達が存在するのか」ということに明確な答えを持っていませんでした。

過去に考えてきた人たちはいましたが、そのどれもが観念的な立場を出ることはなかったのです。

本書の冒頭で述べられるこのダーウィンの進化論への言及が、筆者の主張の土台です。

本書の姿

本書は非常に重厚な一冊ですので、変な誤解を生まないように「本書は〇〇でない」という説明があります。

読者の解釈を広げすぎないようにする配慮ですね。

道徳ではない

利己的・利他的という言葉には、少なからず道徳的な観念が伴います。

なぜなら、他者のために尽くす貢献が尊いものであるという社会通念があったり、自己の利益を優先する行動は非道徳的であるという評価を受けたりするからです。

また、実際にお礼を言われたりして人の役に立ったりする経験は快楽中枢を刺激し、気持ち良くなることも分かっています。

けれども、それらの要因から進化について解くのは適切ではありません。

道徳的な観念を切り離した立場で、あくまで事実としての認識を述べる本なのです。

氏か育ちかを論じるものではない

今のあなた自身の在り方が、遺伝や環境によるものであるかどうかを論じるための本ではありません。

ドーキンス氏自身は、自分の意見を持っていますが、それはあくまで自分の意見。

本書が述べるのは、淡々とした事実。

できる限り、主体性を切り離した情報のもとで、主張が展開されます。

この試みは、主体を離れた主張の限界に挑戦していると言っても良いでしょう。

生物の行動の詳細を述べるものではない

本書には生物のさまざまな行動が事例として挙げられていますが、それらはあくまで事例の一つ。

その事例から、どんなことが分かるのかを考察していくのが本書の目的です。

一見利他的に見える行動のほとんどは、実は、形を変えた利己主義であるということを伝える構成になっているということを意識して読み進めていきましょう。

基本原則:遺伝子の利己性

本書の主張で一貫しているのは「遺伝子には利己性がある」ということです。

生き物を集団として捉えると、まるで”種の保存”を優先しているかのような行動をとっているように見えます。

親が子を守るために自らの命を犠牲にしたり、ある個体が囮になって捕食者から仲間を守ったりすることは、誰しもイメージが湧くと思います。

そうやって、種が生き残るために行動する個体がいるからこそ、種全体が滅びずに済み、その結果が自然淘汰による進化であるかのように見えます。

また、利己的な個体が蔓延ってしまうと、そのコロニーの中では利己的な性質が子孫に引き継がれ、利己的な固体の多い集団が形成されていくことが予想されます。

自分のことばかり考えて行動する個体が増えると、その群れは長く生存できないのは明らかです。

これらの例を見ると、”利己的”であることは、引き継がれにくい形質であるように見えます。

”利他的”である方が、長い目で見て生存に有利であるという解釈が生まれた一因ですね。

ところが、それらの行動は、あくまで「遺伝子の乗り物である肉体レベルでの解釈」に過ぎないのです。

集団を優先させる「利他主義」は、一見理にかなっているように見えますが、それは大きな誤解です。

進化において重要なのは、本当は「固体の利益を優先させる」ことなのです。

私たちの細胞の核である遺伝子が、どのように発生して、どのように今の姿になったのか?

次章では、”遺伝子の自己複製”という観点から、非常にスリリングな論が展開されていきます。

まとめ

最後まで読んでくださってありがとうございます。

多くの人々の生物観を根底から揺るがしたロングセラー「利己的な遺伝子」。

本書を読み解く旅は、あなたのものの見方もきっと大きく変えてくれることでしょう。

次章では、”遺伝子の自己複製”という性質が生存競争を生み出したということを述べていきます。

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