こんにちは、よだかです。
今回は『利己的な遺伝子』やさしく解説シリーズの第7回。
🍼 テーマは「家族計画」──
生き物はなぜ、子どもの数を“調整”するのか?
親が無限に子どもを作れば、遺伝子もいっぱい残せそうですが、実際はそうはなりません。
生物は、限られたリソースの中で“最適な選択”をしているのです。
🔁 前回(Part.6)の記事はこちら
👉 【遺伝子道】血縁に親切なのはなぜ?
この本・本記事を読んでほしい方
- 生物の「子育て」や「出生戦略」に興味がある方
- 家族の構造がどこまで進化的に設計されているかを知りたい方
- 『利己的な遺伝子』を読み解く視点を深めたい方
出生数が“調整”される理由
なぜ動物たちは、無限に子を産まないのでしょう?
答えはシンプル:
✅ 子どもを育てるには“エネルギー”と“手間”がかかるから
子どもを増やしすぎると、それぞれにかけられるリソースが分散し、
結果的に誰も十分に育たず、淘汰される確率が高くなるのです。
子どもが多すぎると損をする
- 🧃 餌が足りない
- 🛡️ 保護できない
- 🧠 教育・学習が行き届かない
むやみに数を増やすことは、遺伝子の戦略として“非効率”。
🎯 最適なのは「環境に応じたちょうど良い数」を残すこと
だからこそ、動物は子どもの数を自然に“調整”するようプログラムされているのです。
福祉国家は“進化的には不自然”?
道徳的・倫理的な価値観は一旦置いて、生物学の視点で見ると──
💡 福祉とは「本来淘汰されるはずの遺伝子を守る仕組み」
これは遺伝子の利己性とは矛盾すると言えます。
もちろん、私たちは人間なので“合理性”だけでは語れません。
でも、ドーキンスの視点では「進化の流れと福祉は緊張関係にある」と捉えることができます。
戦略:争わないという選択肢
ある動物の群れでは、1匹のオスがリーダーになると、他のオスたちは“繁殖をやめる”。
🐦 でも、リーダーが死ぬと、次のオスが即座に繁殖行動を開始。
これは「争わず、チャンスを待つ」戦略。
なぜなら、争いには大きなリスクがあるから。
- 命を落とす
- 怪我で機会損失
- 群れが崩壊する危険性も
✅ 「戦わずに機を待つ」という戦略も、遺伝子的には超合理的
過密環境と“出生抑制”
人口密度が上がると、出生率が下がる。
これは自然界でもよく観察される現象です。
- 🥩 餌が足りない
- 🌿 生存スペースが奪われる
- 🧠 遺伝子が「今は増やすな」と判断する
このような“出生抑制のスイッチ”が、遺伝子に組み込まれている可能性が高いのです。
顕示行動と“群れの見せかけ”
集団で暮らす生き物の中には──
🗣️ たった1匹でも「2匹分の声」で鳴く鳥がいる!
なぜなら、群れを“大きく見せる”ことが生存戦略になるから。
- 群れが大きい=外敵から狙われにくい
- 鳴き声や行動で“数”を誇張することが有利に働く
✅ 集団性を武器にする個体は、その遺伝子が生き残りやすい
📘 まとめ:家族計画も“利己的な遺伝子”の戦略
本章で見たように、家族という構造も、
子育てという行動も、
すべては「遺伝子をうまく残すため」の戦略です。
🔑 今回のポイント
- 出生数はエネルギーと環境で決まる
- 子どもを増やすことには“代価”がある
- 争わずチャンスを待つのも立派な戦略
- 密集環境では出生抑制が働く
- 群れの“誇張”も生存のための工夫
📕『利己的な遺伝子』を手に取りたくなった方へ
家族や社会を“進化の目”で見てみたい方には、この一冊が最適です👇
次回予告|Part.8:「世代間の争い」
次回は「親と子の利害が衝突する場面」をテーマにします。
なぜ、家族の中でさえ“争い”が起こるのか?
遺伝子の視点から“家族の不協和音”をひもといていきます。
どうぞお楽しみに!
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【なぜ“親子”でも争うのか?】『利己的な遺伝子』をやさしく解説|Part.8|リチャード・ドーキンス著
こんにちは、よだかです。 『利己的な遺伝子』をやさしく解説するシリーズ、第8回のテーマは── 👪 「世代間の争い」──親と子の利害は本当に一致しているのか? 一見、親子は運命共同体のように見えますよね ...
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