こんにちは、よだかです。
今回は『利己的な遺伝子』やさしく解説シリーズの第6回。
🧬 テーマは「遺伝子道」──
なぜ私たちは血縁者に対して親切なのか?
親子や兄弟、親戚には自然と親切に接してしまう。
けれど、赤の他人には少し距離を置く。
この“当たり前”の行動には、遺伝子の合理的な意図が隠れています。
🔁 前回(Part.5)の記事はこちら
👉 【攻撃】進化の中で生き残る戦略とは?
この記事・本をおすすめしたい方
- 『利己的な遺伝子』をもっと深く理解したい方
- 生物の“利他行動”の本当の意味を知りたい方
- 行動の背景にある「遺伝子の設計思想」に興味がある方
他者に優しくするのは、結局“自分のため”?
一見「利他的」に見える行動も、
実は遺伝子の自己保存戦略の一部です。
✅ 「自分と同じ遺伝子を持つ他者を助けること」は、結果的に自分の遺伝子が残りやすくなる
だから、生物は「どの他者に親切にするか?」を遺伝子レベルでプログラムされているのです。
親切な行動の“5つの基準”
ドーキンスが提示する、親切に振る舞う基準は以下の5つ:
- 近縁度
- 平均寿命
- 損得の見積もり
- 母親寄りかどうか
- 群れの性比と規模
順番に見ていきましょう。
1. 近縁度(遺伝子の共有率)
親子は遺伝子の50%を共有。
兄弟や祖父母・孫とも、多くの遺伝子を共有しています。
だからこそ、近しい個体に親切にすることは、自己保存と同義。
🧬 自分の“コピー”を生き延びさせるために、遺伝子は「親切の優先順位」を定めているのです。
2. 平均寿命(繁殖期待値)
同じ遺伝子を持つなら──
✅ より若い個体=長く生きて、たくさん繁殖できる
だから、親が子どもを守るのは当然。
逆に、子が親の世話を焼くことは少ないのです。
👶 投資すべきは「これから多くの遺伝子を残せる個体」
3. 損得の見積もり(記憶と学習)
すべてが“本能任せ”ではありません。
記憶によって──
- 危険な相手を避ける
- 信頼できる個体を助ける
- 過去の経験から戦略を修正する
これが「学習」という進化の副産物。
🧠 遺伝子にプログラムされた“原則”に、環境に合わせた柔軟性を加えることで、個体の生存率がさらに高まったのです。
4. 母親寄りかどうか(信頼性)
遺伝子的に、母親は子どもが「自分の子」だと確信できます。
でも、父親にはその確信がありません。
- 母:確実に50%の遺伝子が子に受け継がれる
- 父:本当に自分の子か分からない(見た目では確証できない)
この不確実性が、“親戚付き合い”の温度差に表れたりしますよね。
5. 群れの性比と規模
例えばライオンの群れ(ハーレム型)では──
- 1頭のオスが多数のメスと繁殖
- オスは希少=争いを避けた方が遺伝子を残しやすい
結果として:
✅ 近縁のオス同士は協力的に
❌ そうでないオスには攻撃的に
性比や群れの構成によって、
「親切」と「攻撃」の境界線が変わるのです。
📘 本章のまとめ:
“当たり前”の行動には、遺伝子の意図がある
- 血縁を大事にする
- 若い個体に未来を託す
- 自分の得になりそうな相手に協力する
- 母系を中心に信頼を築く
- 群れの構成に応じて戦略を変える
これらはすべて、「自己の遺伝子を残す」ために最適化された行動。
🧬 生き物の行動は、驚くほど“合理的”で“戦略的”だったんです。
📕『利己的な遺伝子』を読みたくなった方へ
進化論や生命の仕組みを“人間の行動”にまで広げてくれる一冊。
未読の方はぜひ👇
次回予告|Part.7:「家族計画」
家族は、なぜ“機能的”な構造を持っているのか?
次章では、家族という“遺伝子保存システム”について深掘りしていきます。
ぜひお楽しみに!
-
-
【なぜ子どもの数は制限されるのか?】『利己的な遺伝子』をやさしく解説|Part.7|リチャード・ドーキンス著
こんにちは、よだかです。 今回は『利己的な遺伝子』やさしく解説シリーズの第7回。 🍼 テーマは「家族計画」──生き物はなぜ、子どもの数を“調整”するのか? 親が無限に子どもを作れば、遺伝子もいっぱい残 ...
続きを見る