どうも、よだかです。
今回は「利己的な遺伝子」やさしく解説の第7回。
生物観を大きく揺るがすベストセラーの本書。
第7章のテーマは「家族計画」。
個々の親動物が家族を作るのは、自分の育てられる子供の数を最大化するための戦略。
子育てを、”新たな個体を生み出すこと”と”現存個体に保護を与えること”に分けて考えていきましょう。
本章では、特に”新たな個体を生み出すこと”に注目しています。
”新たな個体を生み出す”時に、生存機械はどのように決断すべきか?
早速内容をまとめていきます!
この本・本記事を読んで欲しい人
・利己的な遺伝子を読んでみたい
・生物の起源を知りたい
・進化の本質を理解したい
出生数が調整される理由
なぜ、生き物の出生数が調整されているのでしょうか?
それは、繁殖する個体の利益になるからです。
繁殖には一定量のエネルギーが必要であり、また育てる手間もかかります。
親固体が無限に子供を育てるエネルギーを確保できるわけではありません。
人間の子育てをイメージすると分かりやすいですよね。
子供が大人になるまでには、膨大な時間と手間がかかります。
自然界では、もっと多くのリスクが存在するのは明らかです。
そのため、過剰な出生数を求めない個体が生き残ることになります。
多数の子を産むデメリット
多数の子を産むと、その個体を養育するためのリソースが必要になります。
つまり、”保護”の手間が増えるということ。
むやみに子供を作れば良いというわけではありません。
子供を育てるということには”代価”が発生します。
子供を増やせば増やすほど、一個体に割けるリソースは少なくなる。
逆に、子供が少なければ少ないほど、一個体に割けるリソースは大きくなる。
自分の生きる環境下で、子供を充分に成熟させられる適切な数というものがあるのです。
福祉国家は不自然
福祉国家というのは、本来であれば自然淘汰されるはずだった個体の命を救う社会です。
ここでは、道徳観や倫理観をいうものを考えず、純粋に生物学の視点だけで考えてみましょう。
社会・国家の存続のために作られた仕組みが福祉。
ところが、遺伝子は利己性がその本質。
つまり、福祉国家のシステムと遺伝子の性質は正反対のものなのです。
遺伝子的には滅びようとしているのものを福祉というシステムで繋ぎ止めてしまうことで、本来淘汰されるはずだった遺伝子が生き残るという不自然な状態になっているのだと見ることができるのです。
戦略:争わない
生物の生存戦略として「争わない」というものがあります。
ある鳥の群れにおいては、一羽のリーダーが台頭すると、その群れの他の雄は繁殖行動を取らなくなります。
しかし、リーダーが死ぬと、No.2の雄がたちまちリーダーとして繁殖行動をとるようになるのです。
これは、同種のオスと争わないことで、自分の遺伝子を安全に保存するとともに、リーダーの雄がいなくなった時にすぐさま次の一手を打つことに期待した”待ち”の戦略と言えます。
”争い”にはリスクがつきもの。
雄同士が争うことによって双方が多大なリスクを負う可能性がある環境では、”チャンスを待つ”というのは、非常に合理的な戦略なのですね。
自分達の遺伝子が絶えてしまっては、本末転倒なのですから。
過密と顕示行動
過密な環境が個体数を減らす。
これは、溢れかえってしまった環境下では、個体の出生数が増えなくなるという研究データから明らかになりました。
先に述べたように、子育てには”保護”のためのリソースが必要です。
明らかに過剰な個体数の増加は、その地域における餌などの生活資源の枯渇に直結します。
遺伝子には、さまざまな発現因子が組み込まれていますが、自分達の個体数の増加を感知することによって発現する行動様式も見られるようになると考えるのが自然です。
また、集団で行動する動物が自分達の群れを大きいものに見せようと行動する性質も、遺伝子の利己性から説明可能。
群れが大きいと、それだけで自然界では外敵から襲われるリスクを下げる事ができますね。
そのため、1羽でも2羽分の大きさでさえずることのできる個体は、自身の遺伝子をつなぐことにおいて有利になります。
集団で行動する性質を持つ生き物は、その遺伝子の中に、集団で有利になる形質や行動様式を兼ね備えているのです。
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
子供を作るためにさまざまな判断基準があることをお伝えしました。
”遺伝子の利己性”ということをベースに考えれば、生き物のとる行動の理由を具体的に説明する事ができますね。
感情を抜きにしてみると、いかに合理的に動いているのかがよく分かります。
次回、第8章のテーマは「世代間の争い」。
「家族の内部における利害の衝突の問題」についてまとめていきます。
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