思考力アップ 読書

【コミュニケーションの極意!】「他人」の壁【養老孟司 名越康文】

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どうも、よだかです。

あなたは、他人を理解しようとして苦しくなっていませんか?

今回紹介する「他人の壁」は、そんなあなたの処方箋になる一冊です。

人を理解することはできない。

それは、そもそも前提とすることが違うから。

本書を読む中でじわじわとそれを理解できる内容です。

養老孟司10冊読破企画の9冊目!

早速内容と感想をまとめていきます。

この本・記事を読んで欲しい人

・他人を理解しようとして苦しくなってしまう

・人間関係の悩みを解決したい

・養老孟司さんが好き

初めに

人のことを理解できないのは、そもそもの前提が違うからです。

文化や育った環境、食べたものや共に過ごした人たち、、、。

どれを取っても同じ人はいません。

考え方の土台もそうやって育まれてくるのです。

他人と自分を隔てる要素は無数にあります。

だから、自分と他人とは違う。

分からなくて当たり前なのです。

そもそも、そうやって理解しようとする自分自身のことですらよく分かっていないのです。

分からなくたって、お互いがぶつからなければいいだけ。サインを感じて、そこで少し調整する。

冒頭で述べられたこの言葉が、本書の中核になります。

剥き出しの世界

自分のことを本気で知るためには、違う環境に身を置くことが大切です。

飲み屋で様々な他人と触れ合ったり、田舎の森や川に出かけて1日を過ごしてみたり、、、。

都市の喧騒で生活している時には、決して気づくことのできないものを教えてもらえます。

都市は”意味”の集まりです。

人間の脳が作り足したものの集合が都市なのです。

頭に描いたもの現実世界に顕現したものが都市であり、その意味では都市は究極のフィクションです。

違和感を持ち続ける

本書の中で特にエネルギーをもらえた部分です。

「まぁ世の中そういうもんだ」という言葉は、思考を停止させます。

違和感を感じたらそれを忘れないようにする工夫が必要です。

人は「同化」という武器を持つがゆえに、その場に留まることを正当化しようとします。

つまり、違和感を持っても、すぐにそれを打ち消そうとするのです。

例えば、花が10輪咲いていたとして、それがチューリップだった場合(この時点で既に同化が起きていますが)、私たちはそれを「花」というカテゴリーで「同化」しています。

本来は、1つ1つが違う「花」のはずなのに、、、。

「同じ」という意識が一つ一つの違いを消してしまうのです。

「同化」は、人間だけが持つ能力です。

それ故、ここまでの進歩を遂げてきたのです。

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他の動物はこのような能力は持ち得ません。

共同体を作る上で、同じであることに違和感を持たないで済む傾向の強い種の生き残りが我々です。

同調圧力に屈しやすい性質と言い換えても良いかもしれません。

自分の中に生じた違和感は、自分が真にこうありたいと望む姿にたどり着く大きな手がかりになるのです。

自分に恥じない生き方や誰の評価に晒されてでも決して曲げたくない自分の在り方。

こういったことを抱え続けていくのは、しんどいことです。

ストレスに耐え続ける強さも必要です。

孤独に耐え切る力がないと、違和感を保ち続けることはできません。

分かるということ

頭で理解しているうちは半人前です。

この時点では、まだまだ分かった気でいるだけです。

、、、という時点で、分かっていないことがわかってしまう、、、。

このカラクリが伝わるでしょうか?

脳は体の一部に過ぎません。

これまでの人生で、私たちは「脳で思考している」と思い込んできました。

ところが、それは間違いです。

思考しているのは体全体です。

「分かる」とは、言葉ではなく感覚的なものなのです。

自分ができることを完璧に人に説明することって、とても難しいですよね?

これは「分かる」ことが身体性とつながっている証拠です。

感覚も総動員して理解していることなので、それを全て言語化することは難しい。

冒頭でも述べたように、そもそも前提としていることが違うからです。

身体性も人それぞれで全く異なります。

共通点あればそれはとても幸運なことなのです。

だからこそ、言葉で説明できる人には”価値”があるのです。

一定のレベルまでは、言葉での説明が可能だからです。

もう一歩踏み込んで考えると、「分からせる」というのは「相手に考えさせる」ということなのです。

身口意(しんくい)の一致

これは、瞑想の効用についても触れられていたので非常に共感できるエピソードでした。

”体”と”話すこと”と”意識”の一致。

自分を構成する要素がピタッと一致する瞬間。

瞑想していると、本当に時々「完全に”無”になった状態」にたどり着くことがあります。

これは「”無”という言葉を超えた心地よい何か」としか言いようがありません。

言葉の限界を感じます。

おそらく、経験した人にしか分かりません。

これまでは、その状態をしっかりと言語化しようをしませんでした。

そして、それで良いのだということも、本書の記述から改めて分かりました。

表現できないから”無”なのです。

ここに充てられた”無”という言葉です一つの代替案です。

「この状態を求めてはダメ」という言葉もあり、これも非常に共感できます。

捉えようとして、相手を意識した瞬間に”無”=「身口意」の一致は消えてしまうのです。

私にできるのは、せいぜいそれをのんびり泳がせておくことくらいです。

そういう気持ちを忘れすにいると、悩み事のほとんどが、自分の中から出てきたことだと気が付きます。

自分の中にある無意識での”比較”が悩みを生んでいるのです。

自分の努力では変えられない幻想を抱いて、それを自分の現状と比べたり、過去の失敗を悔やんでクヨクヨして思考を停滞させたりしてることは、とてももったいないことです。

人の悩みはすべからく相対的なものである

現実はちゃんと見る。けれども必要以上に近づき過ぎない。

本書から得た嬉しい気づきでした!

まとめ

最後まで読んでくださってありがとうございます。

「人のことは分からなくて当然である」ということを優しく「考えさせてくれる」本書。

よくある説明系の本と違い、理屈立てて解説する本ではありません。

ですが、だからこそ価値があるのです。

「分からないもの」だと知るということは「分かるろうとすることから完全に逃げる」ことではありません

人を理解するノウハウを紹介する本やコミュニケーションの極意をうたう本はたくさん出版されていますし、それにも大きな価値があることは認めます。

けれども、本当に大切なのは、自分の生き方や感じ方を支えるマインドです。

人と人とは本質的には分かり合えない。

だから、一緒の方向に行ってみて、ぶつかりそうだったら少し調整する。

この言葉は、コミュニケーションの極意です。

きっと読んでくださる方々にも、価値ある気づきや人生を変えるきっかけになるはず。

おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください。

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