どうも、よだかです。
今回紹介するのは、ケイト・マーフィ著「LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる」です。
本書が伝えるのは「聞くことの極意」。
なんと約500ページにわたって、「聞くこと」に特化した内容が詰め込まれています。
人の話のみならず、身の回りに溢れる情報をどのように処理すると良いのかということまで考えさせてくれる1冊!
特に興味深かった部分や、印象的だった部分を中心にまとめていきます。
優れた聞き手の条件「受け止める」
本書を読んで最も大切だと感じたのが優れた聞き手は「受け止める対応」をしているという部分でした。
「受け止める対応」とは
相手の状況をただ感じ取ることに全神経を集中させて聞くことです。
「相手が何を感じているのか」「どんな気持ちでいるのか」「心から望んでいる事は何なのか」
聞き手である自分の考えや感情をできる限り排除して、相手の身になって感じ取る。
相手が聞いてこない限りは、アドバイスもしません。
相手への共感を示すには、聞くに徹することが最優先です。
相手の気持ちや考えていることに寄り添った質問をすることも大切です。
ここでも「救ってあげよう」「何とかしてあげよう」という気持ちを持たないことが大切です。
こちらが話の内容をコントロールしようとせず、成り行きに任せて聞くということを意識しましょう。
これには、時間や心の余裕が必要です。
自分の考えを捨てることが、聞くことのスタートです。
受け止めているうちに、相手の中から自ずと答えは出てきます。
あるいは、もうすでに答えが決まっているということもあります。
相手の中に答えがあるのだと信じて、聞くことを徹底しましょう。
これはNG!「ずらす対応」
逆にやってはいけないのが「ずらす対応」です。
相手の意図していない内容にずらして返答してしまうというパターンで、意外とよくやりがちです。
ずらす対応
「昨日、うちの犬がいなくなっちゃって、夜中探してやっと見つかったんだよ」
「うちの犬は1度もそんなことないな」←会話の軸が”自分”
受け止める対応
「昨日、うちの犬がいなくなっちゃって、夜中探してやっと見つかったんだよ」
「大変だったね。どこで見つかったの?」←会話の軸が”相手”
ほんの僅かな差かもしれませんが、話をした相手の気持ちや立場に共感を示すには、初めのうちは自分の意見を言わないことが大切です。
「でも」や「だって」なども厳禁です。
誰もが自分を分かって欲しい
人間は誰もが本心では「自分のことを分かって欲しい」と望んでいます。
聞くことの極意は「その気持ち・本能を受け止めること」なのです。
この場合、「聞く」ということが「在り方を受け入れる」ということと繋がります。
やや大袈裟な言い方ではありますが、「自分がこの世界にいても良いのだ」と実感させてあげるのです。
その場にいることの心地よさや安心感を与えるということが、「聞くに徹する」ことの大きなメリットの一つです。
「あなたのことを気にかけていますよ」と態度で示すこと。
これを最もわかりやすく伝えるのが「聞く」ことなのです。
人が最も孤独を感じるのは、「良いことが起こったのにそれに気づいてもらえない時」だそうです。
自分の中に起こったささやかな喜びを誰かと共有できたら、より一層幸せな気分になれますよね?
相手に孤独を感じさせないことも意識してみると良いでしょう。
これはさまざまな場面に応用が効く考え方だなと感じました。
やるべきことをきちんとやるのか、ダメな部分を一つずつ減らしていくのか。
今の自分にとってふさわしい方法を選ぶことが重要です。
相手に心からの興味を持って接する。
興味のないように感じられる行動を減らす。
どちらから始めるにせよ、あなたの聞き方は確実に向上していきます。
自分を手放す
積極的なスタンスからのアプローチです。
自分と他人は違うということをしっかりと頭に叩き込んだ上で、話を聞くようにします。
どんな意見や考えが飛び出そうとも、まずは受け入れる。
そこには、自分の心がさまざまな形で反応することが予想されます。
それすらも受け入れる。
相手の言葉に反応する心は不要です。
反応し続けていると、相手の話は絶対に聞けなくなります。
「そうなのか」「なるほど」と無心で受け止めるだけにします。
相手の話は、手を止めて聞く。
アドバイスをしたくなっても、聞かれるまでは黙っておく。
ながら作業で聞くこともご法度です。
相手の呼吸や目線やしぐさなど、気をつけられる全ての要素に注意を払いましょう。
そうすることで、ごちゃごちゃ余計なことを考える隙間がなくなり、相手の様子だけに徹底的に意識を向けられるようになります。
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「反論したい!」はチャンス
対話は「内なる声を聞くチャンス」です。
相手の話に反応するのは自然なことです。
大切なのは「反応した自分に気づくこと」。
特に重要なことが「反論したくなった時」です。
これは本当に大きな成長のチャンス。
なぜなら「違和感は克服したいことの裏返し」であることが多いからです。
人は、理解できる範囲の外側にあるものを恐れます。
安定を好む脳が「そっち行ったら危ないよ」と教えてくれるからです。
けれども、それは原始時代から引き継がれている本能のようなもので、現代社会にはそぐわない機能なのです。
これを突破するために「反論したくなった時」を受け止めることが重要になってきます。
「受け止めること」を心がけていれば、相手の在り方と自分の在り方を無理に馴染ませていく必要はないことが分かります。
他人はどこまで行っても他人。
それぞれ別の世界を生きています。
自分と違う価値観で生きているからといって、相手を自分の価値観に寄せる努力はしなくても良いのです。
相手に反論したくなったら「あなたは私と違う考えなんだね」と心の中で唱えてみましょう。
時間を置いて口に出してみるのも良いでしょう。
そして「なぜ、反論したくなったのか?」を掘り下げていきましょう。
本当に重要なのはこの部分です。
自分自身の価値観を見直す上で、非常に重要になってきます。
自身の感じ方・捉え方を知ることで、より広く深く「聞く」ことができるようになります。
【疑いながら、理解する!?】他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ【ブレイディみかこ】
「笑い」は人をつなぐ
ここまで、距離の取り方についてまとめてきましたが、つながる方法ももちろんあります。
それは「笑い」です。
一定のユーモアが共有されていることで「笑い」が起こります。
笑ってる間は、お互いが「無心」で繋がっています。
笑っている時って、言語化できない心地よさを感じますよね?
心の底をさらけ出したプライベートな部分でつながると、人は安心感を覚えます。
その体験を最もお手軽に達成できるのが「笑い」のもたらす大きな効果の一つです。
繋がりを作りたいときは、「相手を笑顔にする」ということを念頭におきながら、会話を進めると良いでしょう。
安心感は聞くことの土台です。
こちらが相手の笑顔を引き出すことで、さらに聴きやすくなる土台を整えることにつながります。
沈黙が生む豊かさ
最後にお伝えしたいのは「それでもやっぱり沈黙が大事」ということです。
あなたは一日黙って過ごすことができますか?
必要最低限、自分から言葉を発さずに、周りの声や音に耳を傾けて過ごしてみると、自分の心がいかに多く反応しているかが分かります。
注意は払うけれども、黙っている。
これを1日でも取り組んでみると、内なる声の騒がしさを身をもって知ることになります。
自分の内面の豊かさを知ることにもつながります。
また、相手の話を聞けなくなる瞬間にも気づくでしょう。
大抵の場合、聞けなくなるのは「別のことを考え出す時」です。
これは、思考が現在を置き去りにしている状態です。
本書には「うわのそらになるのは、”思考”が”話”よりも早いから」とあります。
これは、目から鱗でした。
「次に何を言おうかな」「どうしたら相手は納得してくれるかな」などなど、いつの間にか思考の軸が自分に寄っていることってありませんか?
相手のことを考えているようで、実は自分のことを考えてしまっているのです。
沈黙は多くのことを教えてくれます。
目の前の相手を論理的にも直感的にも理解するように努めるスタンスを磨いていきましょう。
その繰り返しが、自分の内面を深めていくことに繋がっていきます。
【自己との対話で思考力アップ!】直観を磨く 深く考える七つの技法【田坂広志】
よだか流・深掘り
私自身は「聞く」ことがものすごく苦手です。
訓練することで、ある程度は克服してきましたが、本質的な部分は変わってないと思います。
今でも、相談を受けたり、話を最後まで聞いたりすることで、出口のない迷路を歩かされている気持ちになってしまうことすらあります。
ビジネスの場面においては、伝えるときは要点をまとめて端的に伝えて欲しいという気持ちが強いですし、それができない相手には「話の内容をまとめてきてくれないかなぁ」と否定的な気持ちを抱くこともあります。
けれども、それはあくまで自分に軸が寄っている時だけなのです。
そもそも「聞けない」状態を作り出しているのは、ほとんどの場合、自分の精神状態を作り出している環境が原因です。
時間にも心にも余裕があるときは「まぁどうなってもいいや」という気持ちで、話を聞くことができるものです。
そのことに気づいてからは「今、時間と心のどちらに余裕がないのだろうか?」「せめて心だけでも余裕を持とう」と言い聞かせるようになりました。
なぜなら、”時間”と”心”を比べたときに、自分のコントロールが効くのは圧倒的に”心”の方だからです。
いずれは”時間の自由”も手に入れて、もっとゆったりと「聞く」ことができる人間になりたいと思っています。
やはり「聞く」ことの本質は「自分の器がどれだけ大きいか」にかかっているように思います。
自分の器のサイズを知るためにも「聞く」ことから得られる気づきは非常に価値があります。
人は自分のサイズに合った言葉しか受け止めることができません。
「聞く」ことが「受け止める」ことに通ずるとするならば、自分のサイズを広げていく営みを疎かにしてはいけないのです。
自分が成長していくために、しっかりと耳を傾けることのできる人間であること。
持ちうる全ての力を使って「聞く」こと。
無闇に心を反応させないこと。
反応してしまった原因を考えること。
これは、人に対してだけではありません。
物事を受け止めるときに、いつも忘れないでいたいと思います。
無心で感動を受け止めるだけの心の豊かさを磨いていきたです。
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
「聞く」ことに全振りして書き上げられた本書。
単純なノウハウ本からは得られない様々な気づきを与えてもらうことができました。
「聞く」ことが自分の成長につながることを信じさせてくれる素敵な1冊!
ぜひ手に取って、読んでみてください!
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