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【なぜ“親子”でも争うのか?】『利己的な遺伝子』をやさしく解説|Part.8|リチャード・ドーキンス著

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こんにちは、よだかです。

利己的な遺伝子』をやさしく解説するシリーズ、第8回のテーマは──

👪 「世代間の争い」──親と子の利害は本当に一致しているのか?

一見、親子は運命共同体のように見えますよね。
でも遺伝子の視点で見ていくと、そこには巧妙な駆け引き緊張関係があるのです。

🔁 前回(Part.7)の記事はこちら
👉 【家族計画】出生数はどう決まるのか?


この記事・本をオススメしたい方

  • 『利己的な遺伝子』をより深く読み解きたい
  • 親子関係に潜む「進化的な理由」に興味がある
  • 行動の裏にある“隠れた戦略”を知りたい方

贔屓(ひいき)の子どもを作る理由

親が特定の子を贔屓すること、ありますよね?
それも実は──

「自分の遺伝子をより効率的に残す」ための戦略

理論的には、「ある子どもが他の兄弟よりも2倍以上、遺伝子を残す可能性がある」と判断できるなら、その子にリソースを集中させる方が効率的です。

もちろん、これは確率の問題。
でもその判断は、遺伝子に“利己的”に組み込まれているというのがドーキンスの主張です。


親子の対立構造とは?

親と子は「同じ遺伝子」を共有していても、利害が100%一致するわけではありません

そこで重要なのが、それぞれの“視点”を持つこと。


👨‍👩‍👧 親の視点:「自立させたい」

親の目的は、できるだけ多くの子どもを自立させること

そのためには:

  • 飢えているヒナにピンポイントで餌を与える
  • 成長が見込めない個体にはリソースを絞る

といった、選択と集中の判断能力が求められます。

✅ 「育てる価値がない」と判断すれば、見切りをつけるのも戦略の一つ


🐣 子の視点:「できるだけ多くもらいたい」

一方、子どもにとっては**「兄弟より多くのリソースを得る」**ことが重要。

  • 大きな声でアピール
  • 体を前に出す
  • 目立つ行動を取る

でもここで注意なのは:

⚖️ 自分だけ助かっても、兄弟が全滅すれば「50%共有した遺伝子」も失われる

つまり、自分だけが助かれば良いわけではなく、ある程度の“兄弟の生存”も計算に入れて行動しているのです。


托卵の例:カッコウとツバメのヒナ

カッコウは托卵(たくらん)という戦略を取ることで知られています。

  • 他の鳥の巣に自分の卵を産む
  • 生まれたヒナは他の卵を巣の外に放り出す

これだけでもすごいのですが──

🧪 研究者がツバメのヒナで同じことを試したところ、ツバメのヒナも他の卵を外に出す行動をとった

つまり、「托卵」は特別な行動ではなく、**環境次第で“誰にでも備わっている可能性がある”**ということ!

これはとてもスリリングな発見ですよね。


📘 本章のまとめ:親子の駆け引きは“遺伝子ベース”

  • 親は「育てる価値のある子」を見極めて投資
  • 子は「リソースを勝ち取る戦略」を駆使
  • 兄弟間でも争いと協力のバランスを取る
  • 遺伝子は「最も効率よく自分を残す」方向に行動させる

📕『利己的な遺伝子』を読んでみたい方へ

こうした視点は、進化論の知識を「日常の行動」や「人間関係」にまで広げてくれます👇

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次回予告|Part.9:「雄と雌の争い」

いよいよ次章では、「性別の違い」に注目します。

♂️×♀️ 異なる戦略を持つオスとメス──
そのぶつかり合いが、進化をどう動かすのか?

どうぞお楽しみに!

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