こんにちは、よだかです。
『利己的な遺伝子』をやさしく解説するシリーズ、第8回のテーマは──
👪 「世代間の争い」──親と子の利害は本当に一致しているのか?
一見、親子は運命共同体のように見えますよね。
でも遺伝子の視点で見ていくと、そこには巧妙な駆け引きと緊張関係があるのです。
🔁 前回(Part.7)の記事はこちら
👉 【家族計画】出生数はどう決まるのか?
この記事・本をオススメしたい方
- 『利己的な遺伝子』をより深く読み解きたい
- 親子関係に潜む「進化的な理由」に興味がある
- 行動の裏にある“隠れた戦略”を知りたい方
贔屓(ひいき)の子どもを作る理由
親が特定の子を贔屓すること、ありますよね?
それも実は──
✅ 「自分の遺伝子をより効率的に残す」ための戦略
理論的には、「ある子どもが他の兄弟よりも2倍以上、遺伝子を残す可能性がある」と判断できるなら、その子にリソースを集中させる方が効率的です。
もちろん、これは確率の問題。
でもその判断は、遺伝子に“利己的”に組み込まれているというのがドーキンスの主張です。
親子の対立構造とは?
親と子は「同じ遺伝子」を共有していても、利害が100%一致するわけではありません。
そこで重要なのが、それぞれの“視点”を持つこと。
👨👩👧 親の視点:「自立させたい」
親の目的は、できるだけ多くの子どもを自立させること。
そのためには:
- 飢えているヒナにピンポイントで餌を与える
- 成長が見込めない個体にはリソースを絞る
といった、選択と集中の判断能力が求められます。
✅ 「育てる価値がない」と判断すれば、見切りをつけるのも戦略の一つ
🐣 子の視点:「できるだけ多くもらいたい」
一方、子どもにとっては**「兄弟より多くのリソースを得る」**ことが重要。
- 大きな声でアピール
- 体を前に出す
- 目立つ行動を取る
でもここで注意なのは:
⚖️ 自分だけ助かっても、兄弟が全滅すれば「50%共有した遺伝子」も失われる
つまり、自分だけが助かれば良いわけではなく、ある程度の“兄弟の生存”も計算に入れて行動しているのです。
托卵の例:カッコウとツバメのヒナ
カッコウは托卵(たくらん)という戦略を取ることで知られています。
- 他の鳥の巣に自分の卵を産む
- 生まれたヒナは他の卵を巣の外に放り出す
これだけでもすごいのですが──
🧪 研究者がツバメのヒナで同じことを試したところ、ツバメのヒナも他の卵を外に出す行動をとった
つまり、「托卵」は特別な行動ではなく、**環境次第で“誰にでも備わっている可能性がある”**ということ!
これはとてもスリリングな発見ですよね。
📘 本章のまとめ:親子の駆け引きは“遺伝子ベース”
- 親は「育てる価値のある子」を見極めて投資
- 子は「リソースを勝ち取る戦略」を駆使
- 兄弟間でも争いと協力のバランスを取る
- 遺伝子は「最も効率よく自分を残す」方向に行動させる
📕『利己的な遺伝子』を読んでみたい方へ
こうした視点は、進化論の知識を「日常の行動」や「人間関係」にまで広げてくれます👇
次回予告|Part.9:「雄と雌の争い」
いよいよ次章では、「性別の違い」に注目します。
♂️×♀️ 異なる戦略を持つオスとメス──
そのぶつかり合いが、進化をどう動かすのか?
どうぞお楽しみに!
-
-
【なぜ雄と雌は争うのか?】『利己的な遺伝子』をやさしく解説|Part.9|リチャード・ドーキンス著
こんにちは、よだかです。 今回は『利己的な遺伝子』やさしく解説シリーズの第9回。テーマは── ♂️×♀️ 「雄と雌の争い」──性別がある理由と、それぞれの最適戦略とは? そもそも、なぜ雄と雌が存在する ...
続きを見る