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【極限のジャズと対峙せよ】『セッション』― 音楽を超えて“魂”がぶつかり合う

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こんにちは、よだかです。

今回ご紹介するのは、映画『セッション(Whiplash)』。

これは、音楽の枠に収まらない「才能」と「狂気」、そして「信仰」とすら呼べる執念が交錯する物語。

愛する対象は同じ——それでもぶつかり合うふたりの男。
これはただの音楽映画ではなく、“魂の衝突”そのものです。

ネタバレを含む内容もありますので、未視聴の方は観終えてからまた戻ってきてください。

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◆ こんな人におすすめ!

  • 音楽をテーマにした作品が好き
  • 「才能」と「努力」の本質に触れたい
  • ジャズが好き、または極限の“練習”に心が震えるタイプ

◆ あらすじ(ネタバレなし)

主人公は、名門音楽大学に通うドラマー志望の青年、アンドリュー・ニーマン。
「偉大なジャズドラマーになる」という夢に全てを懸けて、日々練習に打ち込む彼の前に現れたのが、冷酷無比な鬼教師・フレッチャー。

彼のバンドにスカウトされ、喜び勇んで参加するニーマンだったが、待っていたのは想像を超えるスパルタ指導だった。
罵倒、暴力、狂気すら漂うレッスンの果てに、ニーマンは何を掴むのか。


◆ 見どころ①:ニーマンの“覚醒”

序盤のニーマンはどこにでもいる若者。
恋に悩み、家族と口論し、少し背伸びしたい自意識を抱えている。

そんな彼が、フレッチャーの地獄の指導を経て、徐々に“化けていく”。

文字通り血を流しながらドラムを叩き、挫折し、また這い上がる。
そしてラストで迎える、衝撃の“覚醒”。
あの数分間の演奏シーンは、まさに鳥肌ものです。


◆ 見どころ②:人間の“脆さ”と“強さ”

ニーマンとフレッチャー。
2人はまるで鏡のように、お互いの内面を映し出します。

若さゆえの不安定さ、経験ゆえの傲慢さ。
ニーマンの「自信のなさ」と、フレッチャーの「才能への執着」がぶつかり合うたびに、人間の“脆さ”があぶり出されていきます。

だけどそれは同時に、“人間の強さ”の裏返しでもあるんです。
誰しもにある「報われたい」という渇望が、この作品をリアルにしています。


◆ 見どころ③:信仰にも似た“狂気”と崇高さ

この作品の本質は「音楽」ではなく、「信じ抜くことの凄まじさ」。

ニーマンは、手に血豆ができようが、事故に遭おうが、舞台に立ち続ける。
それはもう、努力や根性を超えて“信仰”の域。

ジャズのリズムに命を賭ける彼の姿には、もはや狂気すら感じるけれど、
同時に「人はこれほどまでにひとつのことに打ち込めるのか」と震えもします。


◆ まとめ:この映画が伝えてくれる“魂の物語”

『セッション』は、音楽を通して描かれた、信仰・狂気・芸術・自己との闘いのドラマです。

単なる成功物語ではありません。
むしろ、観終わったあとに心がざわつくほど、強烈で、異質で、崇高な映画です。

ジャズの知識がなくても問題ありません。
魂と魂がぶつかるあのラスト10分——一度観れば、忘れられなくなるはずです。

そして、同じ熱量の作品として『ブラック・スワン』も非常におすすめ。
どちらも、「美」の裏側にある“執念と破壊”を覗き込むような作品です。

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