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ぼっちbotterのログ:2026年10月【19ヶ月目】「取れそう」の先を調べた月

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こんにちは、ぼっちbotterよだかです。

10月も終わるので、恒例の振り返りを書いていきます。

今月も相変わらず、DeFiのプロトコルを調べたり、エッジ候補を検証したり、botを開発したりしていました。

クリプトブログの方では、10月だけで開発記録#581〜#601の21記事を公開しています。振り返ってみると、それなりの量になりました。

ただ、今月は研究の量よりも、何を調べ、何を理由に判断し、その結果として何をするようになったかという部分に変化があったように思います。

9月には「見える」「取れそう」「実際に取る価値がある」を分けて考えるようになりました。

10月はその先です。

「この利益は誰が、どのような方法で取っているのか」

「自分が同じことをするには、何が必要なのか」

「そもそも、この市場に自分が参加する価値はあるのか」

こうした問いを、以前よりも具体的に調べるようになりました。

今回は、10月に行った研究と判断の変化を中心にまとめます。

なお、個別のbotの稼働状況や、現在検証している戦略の具体的な実行条件などは公開しません。この記事では、公開できる範囲の研究成果や、そこから得た理解を中心に振り返ります。


1.10月は利益の取得経路を調べる月になった

まず、先月までの話を少しだけ振り返ります。

9月の振り返り記事でも書いた通り、ここ数か月はエッジ探索の進め方を少しずつ整理してきました。

市場を広く調べ、利益が発生する仕組みを探し、必要な条件を確認しながら、研究を続けるかどうか判断する。

9月の段階では、この流れがある程度定着していました。

10月も基本的な進め方は変わっていません。

清算、償還、アービトラージ、マーケットメイク、不均衡是正、無期限先物市場の観測など、複数の研究を進めています。

ただし、調査を進める中で、戦略そのものを見るだけでは説明できないことが増えてきました。

例えば、ある市場で価格差を発見しても、それを誰がどのように解消しているのかは分かりません。

実際に利益を得ている参加者を確認できたとしても、その人がどの市場に資産を持ち、どのように取引を組み立て、どこでリスクを引き受けているのかまでは分かりません。

さらに、その仕組みを理解できたとしても、自分が同じことをできるとは限りません。

そこで今月は、単に「儲かりそうな取引」を探すのではなく、実際の取引や資金移動を追い、利益がどのような経路で取得されているのかを調べる機会が増えました。

これは、今月の研究全体に共通する変化だったと思います。

2.取れそうでも、採算が合わなければ止める

10月の前半には、実装までかなり進めたbotを、最終的な経済性の評価によって見送る判断をしました。

Across Relayerの研究です。

詳細は開発記録#584「Across Relayer Botを実装直前で捨てた話」にまとめています。

この研究では、実際に利益機会が発生していることを確認し、過去の状態を再現した環境で取引を実行するところまで進めました。

さらに、本番運用を想定した安全機構の実装も進めています。

しかし、最終的に必要資本と費用を整理すると、9候補のうち全費用後プラスは2件、資本に対する利益率が1bps以上だったものは0件でした。

代表的な事例では、約38,600ドルの資本に対して、最終的に残る利益は約1.46ドルです。

取引機会は存在する。実行できる見込みもある。利益も一応残る。

それでも、専用の資本や開発時間を割り当てる価値があるとは判断できませんでした。

結果として、このbotは本番投入を見送りました。

今回の反省は、もっと早く資本効率を確認できたことです。

後から監査すると、本番運用向けの実装を進める前に、かなり安価な検証で採用を見送れる条件が揃っていました。

技術的にできることと、実際にやる価値があることを、まだ十分に切り分けられていなかったわけです。

ほかの研究でも、同じように候補の評価や研究の区切りを行いました。

研究対象検証結果・判断主な理由
Across Relayer9候補中、全費用後プラス2件。実装後に本番投入を見送り必要資本に対して利益が小さい
償還・価値回収8候補の調査で実行可能利益の確定0件。独立研究を停止第三者による取得・回収・経済性の条件が揃わない
Balancer初期17候補で昇格0件。追加調査後も優先度を下げる他者の実行経路から自分の取得可能な利益を確立できない
Pendleの単純即時裁定比較が成立した46件すべてでgross負比較対象の条件では価格差が利益として残らない
GMXの単純往復検証した16条件がすべてマイナス有利な価格条件だけでは往復費用を回収できない
清算専業複数市場の調査を経て、積極的な独立探索を一旦区切る事前検知、競争、退出、機会供給に制約がある

※件数はそれぞれの研究で扱った候補・条件の数です。異なる単位を合算してエッジの発見件数としているわけではありません。また、個別の仮説を棄却したことは、プロトコル全体に利益機会が存在しないことを意味しません。

こうして並べると、随分と切っていますね。

ただ、これらは最初から利益機会が存在しないと分かっていたものばかりではありません。

実際の取引を確認できたものもありますし、技術的に実行可能な経路を再現できたものもあります。

それでも、追加研究や実装へ進む根拠が不足していれば止める。

この判断を、以前より具体的な数値や条件から行うようになりました。

一方、研究を途中まで進めてから経済性の問題に気づいた事例もあるので、まだまだ改善の余地はあります。

3.実際の取引を追うと、戦略の名前だけでは説明できなかった

10月後半になると、調査の対象も少し変わってきました。

特にPendleやSolanaの研究では、実際に取引している参加者の行動を詳しく追うようになっています。

Pendleでは、最初は公開注文とAMMの価格差や、満期前後の償還などを調べていました。

しかし、実際の注文提示者の取引を追跡すると、単純な価格差だけでは説明できない部分が出てきました。

何を在庫として保有しているのか。

どの取引で収益を得ているのか。

受け取っている報酬は何に対する対価なのか。

保有資産をどのように処分しているのか。

こうした要素を調べていくと、単純なマーケットメイクや裁定取引という分類だけでは、実際の運用を十分に説明できない場合があることに気づきました。

その後のSolana研究でも似たようなことが起きています。

複数のDEXを利用して循環的に売買する参加者や、資本を先に提供して流動性への需要に応える仕組みなどを調べました。

実際の取引から、手数料控除後に資産が増えている事例や、資本提供に対する対価の発生を確認しています。

ただし、これは調査対象となった取引や仕組みについて確認した結果であり、参加者の運用全体が黒字であることや、自分が同じ利益を取得できることを証明したものではありません。

このあたりを調べていて、戦略の捉え方が少し変わりました。

これまでは、アービトラージ、マーケットメイク、清算、償還といった戦略の分類を出発点にすることが多かったと思います。

しかし、実際の運用では、それぞれの機能が別の役割を持って組み合わされている場合があります。

例えば、ある取引がそれ自体で利益を生むのではなく、別の取引で生じた在庫を調整する役割を持つこともあります。

収益が発生する取引と、その収益を最終的に回収する経路が別になっている場合もあります。

つまり、一つの取引だけを切り出しても、実際の利益取得の仕組みを説明できないことがあるわけです。

もちろん、複雑な戦略の方が優れているという意味ではありません。

シンプルな方法で利益を得られるのであれば、それに越したことはありません。

ただ、実際の市場を理解するためには、最初に置いた戦略の分類にこだわりすぎない方がよいと感じるようになりました。

4.取引経路が分かっても、実際に取れるとは限らなかった

もう一つ、今月繰り返し確認したことがあります。

実際の利益取得経路を再構成できても、それが自分にとって実行可能な取引機会であるとは限らない、ということです。

例えば、過去の成功取引を調べれば、どの市場を利用し、どのように資産が移動し、どの程度の利益が残ったのかを確認できる場合があります。

しかし、その取引が成立する前に、同じ機会を自分が発見できたのかは別問題です。

競合より早く行動できるのか。

必要な資産を用意できるのか。

実際の取引でどの程度の費用が発生するのか。

失敗した取引の費用まで含めても利益が残るのか。

こうした条件を確認しなければなりません。

今月進めた観測機やDEX裁定の研究でも、プログラムが動いていることと、実際に評価可能なデータが得られていることを分けて検証しました。

データが取得できていても、比較対象の時刻がずれていたり、必要な市場状態を再現できなかったりする場合があります。

また、仮想的な取引で利益が見えていても、実際に注文を成立させられるとは限りません。

このあたりは、単にプログラムを動かすだけでは解決しない問題です。

一方、実際の参加者を追跡する研究でも、成功した取引だけを見ることによる偏りには注意が必要です。

利益が出た取引を後から分析するのと、取引前に候補を見つけて実行し、失敗も含めた結果を集計するのとでは、検証しているものが違います。

つまり、今の自分にとっての課題は、単純に「もっと市場を見えるようにすること」だけではありません。

見えているものから何を判断できるのか。その判断を実際の取引に接続できるのか。

ここが今後も重要な検証対象になると思います。

5.CODEXへの実行委任が進み、自分の仕事は判断に寄った

研究内容だけでなく、仕事の進め方にも変化がありました。

9月の段階で、ChatGPTやCODEXとの役割分担についてはかなり整理していました。

10月は、その分業を実際の研究でさらに進めています。

特に10月19日頃からは、CODEXを中心にデータ取得、実装、検証を進めることが増えました。

一方、ChatGPTでは、研究の方向性や仮説を考えたり、得られた結果について壁打ちをしたり、独立した観点から監査したりしています。

その結果、以前のように一つ一つの作業を自分が細かく指示する必要は減ってきました。

もちろん、CODEXが自律的に作業を進めるからといって、研究の判断まで任せてよいわけではありません。

何を明らかにしたいのか。

そのために必要な検証は何か。

どの結果が出たら仮説を棄却するのか。

追加調査にどれだけ価値があるのか。

こうした部分は、自分で考えることを以前より意識しています。

最近は、AIへ指示を出す前に、自分の中で複数の説明モデルを考えたり、仮説の弱い部分を整理したりする機会も増えました。

そして、実際に取得した結果と照らし合わせ、必要なら問題設定そのものを変更しています。

これは、自分の中ではプラスの変化だと捉えています。

ただし、AIに任せる仕事が増えたこと自体を、botterとしての能力が向上した証拠にするつもりはありません。

研究の成果を判断するには、仮説の妥当性、検証方法、実際に得られた結果などを確認する必要があります。

また、AIが作成した説明や分析結果が自然で分かりやすいからといって、自分がその内容を正しく理解できているとは限りません。

この点については、今後も注意が必要だと思っています。

AIを便利に使えるようになったからこそ、自分が判断すべきことを曖昧にしない。

10月は、この仕事の進め方が以前より定着した月でもありました。

6.第四四半期の初月は、研究の進展と収益性の評価を分ける

ここで、10月の活動を第四四半期の目標と照らし合わせて整理します。

今年の第四四半期は、これまで調べてきたエッジ候補を実際のbotとして扱い、その再現性を評価できる状態へ進めることを目標にしています。

10月は、そのための研究や検証を進めました。

具体的には、採用する価値のない候補を整理し、実際の利益取得者の行動を追い、取引経路や費用を検証し、観測結果の品質を確認するといった作業です。

9月以前と比べると、利益機会の有無だけでなく、取得の条件や競合の行動まで含めて調べる場面が増えました。

一方で、これらをもって継続的な利益取得の再現性が確立したと評価することはできません。

実際の運用に関する情報は公開しませんが、少なくとも今回取り上げた研究成果と、収益性・再現性の評価は分けて考えています。

また、今月は研究の方向性を変更したり、候補を棄却したりすることも少なくありませんでした。

これらも、研究上は意味のある成果です。

ただし、単に棄却した候補が増えたからといって、研究が優れているということにはなりません。

重要なのは、十分な根拠を持って判断できたかどうか。そして、その判断によって次の研究や実装がどう変わったかです。

今月は、その判断基準を以前より具体的に使えるようになったと思います。

一方、Acrossのように、もっと早く棄却できたはずの研究もありました。

だからこそ、研究方法そのものについても、まだ改善できる部分は残っています。

第四四半期の第一フェーズとしては、研究の方向性や検証方法には進展があったものの、当初目標に対する最終的な成果判定はまだ保留、というところでしょうか。

11月以降も、研究の質と実際の収益性を混同せずに評価していきます。

7.11月は今の研究を続け、実装判断を具体化する

11月の目標は、かなりシンプルです。

今やっていることを続ける。

10月の研究によって、現在の方針を大きく変更する必要があるとは考えていません。

市場の仕組みを調べ、利益が発生する原因を考え、実際の取引と照合し、必要な条件が揃えば実装へ進める。

反対に、根拠が弱ければ保留するか、研究の優先度を下げる。

この進め方を継続します。

また、低頻度の戦略や、複数の取引経路を利用する戦略についても引き続き検討します。

ただし、複雑な戦略を作ること自体が目的ではありません。

実際の利益取得に必要な条件を整理し、検証可能なものから進めていきます。

そのためにも、11月は仮説や判断の記録をもう少し意識して残すつもりです。

特に、何を根拠に仮説を立てたのか、どの検証によって判断が変わったのか、何がまだ分かっていないのか。

こうした部分は、AIとの対話だけでなく、自分のノートにも整理しておきたいと思っています。

生活面では、休憩や体調管理も継続します。

10月は意識的に休む日を設け、翌日の集中力や回復感を観察することもありました。

仕事を進められる日は進めつつ、必要に応じて休む。固定したルールを作るよりも、今のところはこちらの方が合っていそうです。

また、botとは別軸で進めているWeb事業についても、余力に応じて週1回程度の改善を続けます。

こちらはすでに一定の準備が進んでいるので、今後はデータを見ながら少しずつ検証する方針です。


まとめ|「取れそう」の先にある問題を調べ続ける

10月を振り返ってみると、これまで別々に調べていたことが、少しずつつながってきたように思います。

清算、償還、アービトラージ、マーケットメイク。

それぞれ異なる仕組みですが、実際の市場では資金や在庫、流動性、取引需要などを通じて互いに関係している場合があります。

そして、そうした関係の中で誰が何を負担し、どのような対価を得ているのかを調べることが、エッジの成立条件を理解する手がかりになると考えるようになりました。

もちろん、そこまで理解できれば利益を取れるというわけではありません。

実際の市場には競合がいますし、資本や技術、執行能力などの制約もあります。

また、どれだけ詳しく調べても、最終的に採用する価値のない戦略だったということは普通にあります。

10月は、そうした判断をいくつも行いました。

一方で、実際の利益取得者を追跡したり、戦略の分類を越えて取引経路を調べたりすることで、以前より具体的な問いを立てられるようになってきました。

これは収益という観点ではまだ評価できない部分ですが、研究の進め方としては前進していると考えています。

結局、botterとしてやりたいことは変わっていません。

市場に存在する非効率性や利益機会を見つけ、自分のbotで再現性を持って取得することです。

そのために、今は何を調べる必要があるのか。

「取れそう」の先にある問題を、引き続き一つずつ解決していきます。

というわけで、2026年10月、ぼっちbotter19ヶ月目のログでした。

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