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【不滅のコイルとは?】『利己的な遺伝子』をやさしく解説|Part.3|リチャード・ドーキンス著

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こんにちは、よだかです。

今回は、リチャード・ドーキンス著『利己的な遺伝子』のやさしく解説シリーズ、パート3です。

🔁 前回の記事はこちらからどうぞ
👉 【Part.2】安定から競争が生まれた話


今回のテーマ:「不滅のコイル」

本章では、「遺伝子とはなにか?」という基本的かつ本質的な問いに迫ります。

そして驚くべき視点──

私たちの身体は、遺伝子を運ぶための“乗り物”にすぎない

というドーキンスの核心的主張が、じわじわと明らかになっていきます。


この記事・本を読んでほしい方

  • 『利己的な遺伝子』に興味があるけど読破はハードルが高い方
  • 生物の進化の視点を刷新したい方
  • 遺伝子という“ミクロの視点”から世界を見てみたい方

「遺伝子」とは何か?

さて、そもそも「遺伝子」とは何でしょう?

実は、専門家の間でも定義には幅があります。
本書では以下のように定義されています:

「何世代にもわたり受け継がれ、多くのコピーとして存在し続ける、小さな遺伝単位」

遺伝子の特徴を整理すると…

  • ✴️ 短い遺伝子ほど長生きしやすい(コピーミスのリスクが低いため)
  • ✴️ 別個体間での“コピー”として存在する可能性が高い
  • ✴️ だからこそ、**遺伝子は「ほぼ不滅」**といえる

この視点が、「不滅のコイル」という表現の背景にあります。


遺伝子は何をしているのか?

遺伝子の役割は、主に2つあります:

① 自己複製

→ 自分自身を何度もコピーする

この点については、Part.2で詳しく解説しています。

② タンパク質の生成を“間接的に”コントロールする

→ ここが本章の重要ポイント


タンパク質=私たちの体を構成する材料

筋肉、骨、神経、臓器──これらはすべてタンパク質からできています。
さらに、体が壊れていく過程(老化や分解)も、遺伝子の働きによるものです。

つまり、形成も崩壊も、すべて遺伝子の設計通りというわけです。

そしてここで重要なのが、

「コピー(複製)」と「タンパク質の製造」は別の話

という点。

また、いわゆる「獲得形質」(筋トレや勉強で得た成果など)は遺伝しません

ただし、「吸収しやすさ」や「成長しやすさ」は遺伝します。ここ、要チェックです。


遺伝子が働く“環境”とは?

遺伝子の影響は、環境によって発現しやすくなったり抑えられたりします。

ここでいう「環境」とは──

  • ☀️ 気温や湿度などの自然環境
  • 🍎 栄養や刺激などの生理的環境
  • 🧬 そしてなんと、**“他の遺伝子”**も環境なのです!

遺伝子どうしの“相互作用”とは?

ある遺伝子が他の遺伝子の働きを…

  • スイッチとしてONにする
  • 活性化させる
  • 妨害する
  • 弱める

こうした複雑な関係が、表に現れる“形質”を決定します。

たとえば、「青い目」と「茶色い目」の遺伝子が拮抗していると、片方が優勢になる。
一方で、対立していない遺伝子同士なら、両方の特徴をあわせ持つ形質が現れる。

つまり、遺伝子は“環境”としても働くプレイヤーなんです。


寿命を延ばす方法!?

少しSFっぽいですが、ドーキンスは次のような考察を紹介しています:

① 生殖年齢を後ろにずらす

→ 40歳以降に子どもを持つ人が増えれば、長寿遺伝子が残りやすくなる

② 遺伝子を“騙す”

→ 薬や習慣改善によって、遺伝子に「体は若い」と錯覚させれば、老化が抑制される可能性がある

つまり、遺伝子の働きには抗えないけれど、“環境”を整えることでその動きを調整できるようになってきたというわけです。


まとめ:遺伝子はコピーし続ける“永遠の存在”

本章では次のようなことを学びました:

  • 「遺伝子」とは、コピーとして何世代にも残る“ほぼ不滅”な単位
  • その働きは、複製タンパク質の製造の制御
  • 遺伝子どうしが、互いに“環境”として作用しあっている
  • 環境次第で、遺伝子の影響は変わるし、寿命の伸び方すら変わるかもしれない

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理解すればするほど、「生きること」に対する見方が変わっていきます。


次回、**第4章では「遺伝子が行動をどう支配するか」**に迫っていきます。

生き物の行動すら、遺伝子の戦略かもしれない…?

どうぞお楽しみに!

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