どうも、よだかです。
今回は「利己的な遺伝子」をやさしく解説するパート3。
↓前回の記事はこちらから
【我々が生存機械である理由】利己的な遺伝子 やさしく解説Part.2【リチャード・ドーキンス
生物観を揺るがすベストセラーである本書。
第3章のテーマは「不滅のコイル」。
遺伝子という言葉の定義と、それがほぼ不滅であるということを解説していきます。
我々の体が「遺伝子を運ぶための乗り物」であるというスリリングな主張に迫っていきましょう!
この本・本記事を読んで欲しい人
・利己的な遺伝子を読んでみたい
・生物の起源を知りたい
・進化の本質を理解したい
遺伝子とは?
あなたは「遺伝子」という言葉をきちんと説明できますか?
実は、専門家の間でもその定義は分かれているのです。
そこでまず、本書での定義を明らかにしておきましょう。
「遺伝子」とは”何世代にもわたって続き、多くのコピーという形では配分されるくらい小さい遺伝単位”のこと。
本書での定義はこれです。
遺伝子の定義とコピーについて
・一個の遺伝子は、何世代もの個体の間を通って生き続ける単位
・遺伝単位は短ければ短いほど、何世代にもわたって長生きする
→短いほどコピーミスのリスクが減る。
→別個体の間にコピーとして存在する可能性が高まる
コピーの形で、ほぼ不滅である遺伝子が、一体どのような働きをしているのか?
その秘密に迫っていきましょう。
遺伝子は何をしているのか?
遺伝子が行っていることは大きく分けて2つ。
遺伝子が行っていること
ここでは、②についての働きが重要です。
タンパク質は、生物の体を作る材料。
神経、骨、筋肉、内臓など、ほとんどの器官がタンパク質から作られています。
また、これらのタンパク質を分解・劣化させていくのも遺伝子の働きによるものです。
つまり、肉体の形成と崩壊に関するありとあらゆることが、遺伝子に組み込まれているのです。
この点を理解しておくことは、非常に重要です。
遺伝子が自己を保存するための乗り物として、細胞膜などを獲得するに至ったことは、前章で述べました。
ここでは、もっとスケールを広げて考えてみましょう。
他の生物よりも大きな体、鋭い牙や爪などが、生存競争に有利に働くと仮定します。
その時、たまたま”牙を製造する”特徴を持った遺伝子が、後世に残りやすくなります。
自己複製とタンパク質の合成は、分けて考える必要があります。
”遺伝子のコピー”と”タンパク質の製造”は、別物として考える必要があるのです。
もう一つ重要なことが、”獲得形質は遺伝しない”ということ。
勉強して身につけた知識や体を鍛え抜くことで得た強靭な肉体などは、子孫に受け継ぐことはできません。
継承できるのは、あくまで”知識を吸収しやすい”形質や”筋肉がつきやすい”体質に限定されます。
遺伝子を働かせる”環境”
遺伝子の働きを発現させやすい環境というものがあります。
まずは、気温や湿度などの変化に代表される自然環境。
そして、適切な栄養や刺激を与えることによる成長促進。
肥料を与えて、植物の成長を促すことなどをイメージするとわかりやすいですね。
他にも、脳に栄養のあるものを食べたり、プロテインを飲んで筋トレの効果を高めたりすることもこれに含まれます。
しかし、もっと小さなスケールでの”環境”が存在します。
それは”遺伝子”です。
遺伝子同士も、環境として作用するのです。
遺伝子の中には、それ自体が別の遺伝子の働きに関わって作用するものがあります。
環境としての遺伝子の作用
・それ自体が、別の遺伝子の働きを促すスイッチになっている
・別の遺伝子の働きを活性化させる
・別の遺伝子の働きを妨害する
・別の遺伝子の働きを弱める
単純に、特定の形質を発現させる遺伝子があれば、即座にそのような形質が現れるわけではありません。
”眼を青くする”遺伝子もあれば”眼を茶色くする”遺伝子もあるのです。
このように”対立”の関係にある遺伝子は、どちらかの要素が発現することになります。
対立関係にない遺伝子の場合は、それらの形質が組み合わさったものとして身体的特徴が発現します。
遺伝子同士は、複雑に作用し合っているのです。
遺伝子同士も、”環境”としてお互いに作用し合っているのです。
寿命を伸ばす方法
ここまでの話を理解できると、寿命を伸ばす方法も見えてきます。
(もっとも、①は誰もやりたくないでしょうけれど)
寿命を伸ばす方法
①40歳以上での生殖を許可する
→40歳、50歳、、、と徐々に伸ばしていくことで、人間の寿命は伸びる
→長命で出産に耐えられる形質を持つ遺伝子が残るので、若くして死に至る形質を発現する遺伝子は減る
②遺伝子を騙し”体が若い”と錯覚させる
→”老化を伝える働きを持つ遺伝子”と”細胞を劣化させる働きを持つ遺伝子”は別物であることに注目
→薬品の投与や生活週間の改善などを行い、”体が若い”と錯覚し続けている限り、老化は進まない
遺伝子の働きに逆らうことはできません。
しかし、その働きをある程度コントロールすることはできるようになってきています。
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
遺伝子という単位を定義づけることは、本書を読み解く上での大変重要なポイントです。
「何世代にもわたって続く」「コピーという形で配分される」「小さな遺伝単位」が遺伝子。
今回は、遺伝子の働きが「複製」と「タンパク質の製造を間接的に支配している」ことをまとめました。
遺伝子の働きとそれらには複雑な相互作用があるということをおさえられたかと思います。
第4章では、「遺伝子がもたらす行動の制御」についてまとめていきます。
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