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【我々が生存機械である理由】利己的な遺伝子 やさしく解説Part.4【リチャード・ドーキンス】

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どうも、よだかです。

今回は「利己的な遺伝子」やさしく解説の第4回。

生物観を大きく揺るがすベストセラーの本書。

第4章のテーマは「遺伝子機械」。

植物と動物。

2つの枝に分かれて、進化を繰り返してきた生物。

今回は、動物に焦点を当てた内容。

体の統制機関として、脳が発達してきた歴史が紐解かれていきます。

運動の制御と記憶や意識。

そして、学習能力やシミュレーション。

これらの機能を脳が獲得しているのはなぜなのか?

第4章では、その理由が明らかになります!

早速内容をまとめていきましょう!

↓第3章「不滅のコイル」の解説はこちらから

【我々が生存機械である理由】利己的な遺伝子 やさしく解説Part.3【リチャード・ドーキンス】

この本・本記事を読んで欲しい人

・利己的な遺伝子を読んでみたい

・生物の起源を知りたい

・進化の本質を理解したい

体は遺伝子のコロニー

生物は、その進化の過程で2種類に分かれました。

動物と植物です。

植物

・日光を使ってエネルギーを生み出す

・その場にとどまる

動物

・他の物を食べることでエネルギーを得る

・その場から移動する

私たちの体は、さまざまな細胞の集まりです。

細胞がどんな形質を示すのかを決めているのは遺伝子です。

↓詳しい解説は第3章にて

【我々が生存機械である理由】利己的な遺伝子 やさしく解説Part.3【リチャード・ドーキンス】

著者は、各細胞を「遺伝子の化学工場として都合良い作用単位」と捉えています。

自然淘汰の過程で、他の遺伝子と協調する性質を持つ遺伝子が生き残ってきました。

その結果、遺伝子間の複雑な相互作用が進みました。

私たちの体は、共同体の産物なのです。

そう言った意味では「体は遺伝子のコロニー」とも言えます。

脳が重要な理由

神経系の中枢である”脳”。

これもまた、私たちの遺伝子に組み込まれた生存機械の一部です。

なぜ、脳がこれほどまでに発達したのか?

それは、神経系と運動器官を媒介する装置が必要だったからです。

脳は「非常に優秀は媒介物」。

”遺伝子の利己性”をもとにその理由を読み解いていきましょう。

筋収縮の制御と調整

脳は、筋肉の収縮とその作用の調整ができます。

動物が、その優位性を発揮するためには、優れた運動能力を存分に発揮できなければいけません。

・移動する

・獲物を獲る

・敵から逃げる

自身の強みを発揮するための運動機能を発揮するために、脳からの指令を伝達する必要があります。

また、感覚器官から受け取った情報を的確に処理して、すぐに運動機能に変換しなければなりません。

・獲物や食糧、安全な場を求めて移動する

・獲物を見かけたら狩る

・敵を見かけたら逃げたり身を隠したりする

これは、感覚器官と運動機能が直接結びついているだけでは、効率よく実行することが困難なものばかりです。

脳の機能が高ければ、生存のためにふさわしい運動を選びやすくなります。

記憶と意識

記憶や意識を持つことで、毎回判断する必要がなくなります。

過去の記憶を持つことは絶大な生存能力の獲得につながります。

危険な場所を覚えることで命を落とすリスクを下げ、安全な場所を覚えることで命を長らえる可能性を高めます。

獲物が獲れやすい場所や、敵に襲われやすい場所を覚えることも大切です。

ある特定の刺激に対して、快感や不快感を持つことで、栄誉効率の良い食べ物を好んで食べたり、毒のある食べ物を避けたりすることもできるようになります。

また、特定の形をしたものに危機感を覚えることで、危機を避けることもできます。

火を熱いと感じたり、三角形は毒蛇の頭を思わせるので危険なものだと認識して近寄らなくなったりすることを思い浮かべてみるとわかりやすいですね。

生まれながらにして持っている”何となく”の感覚は、こういった長年の生存戦略の積み重ねなのです。

負のフィードバック

物事には望ましい姿がある。

これも生まれながらにして持っている感覚です。

望む姿とかけ離れていると”それを埋めたい”という欲求に駆られます。

これも、遺伝子に刻まれた生存本能の一つ。

現実とギャップの理想を埋めようとするときに、動物はそのパフォーマンスを高めるようにできています。

そして、その不満を解消すると止まるようになっています。

これをうまく利用してやると、習慣化が身についたり、苦しいことも乗り越えるパワーが得られるのです。

学習能力

遺伝子に組み込まれた一定のプログラムだけでは、生存には不十分です。

生まれ落ちた後、環境が変化しない保証はどこにもありません。

そこで、獲得してきたのが”学習能力”です。

変化する環境にも、柔軟に対応し、個体の生存と繁殖の可能性を高める機能が学習能力なのです。

「後天的に獲得した形質は遺伝しない」ことを第3章で述べました。

全ての形質が遺伝してしまうと、後から生まれたものにとってはその形質が邪魔になる可能性もあります。

私たちは、遺伝させるべきもの・させるべきでないものを非常に絶妙なバランスの上で磨き抜いてきた最先端の領域に立っているのです。

シミュレーション能力

未来に起こることを想定する能力。

人間はこれを非常に高いレベルで行うことができます。

これをやったら危ない、怪我をする。

これをやればうまくいく、得をする。

損を避けて、得を求める。

揺るがせにできない人間の欲求。

これを突き詰めていくと、究極的には、遺伝子の命令からの解放に行き着きます。

遺伝子が「私を生き残らせるための行動は何でもしろ」という究極の利己性からくる命令を出すことは、すなわち「お前の意識できることはなんでもやって良い」ということと同じ意味だからです。

よだかのつぶやき

”遺伝子の利己性”が、自由を生むという展開は、とってもスリリングですね。

生き残りたいから委ねるという発想は、私たち自身の行動や意思決定が最終的に帰結する部分でもあります。

最も、それを信じたいがために”遺伝子の利己性”という論を信じたいという意味も含まれますが。

コミュニケーションは騙すことが前提?

個体の生存と繁殖のために、他の個体とのやり取りが必要になってきます。

そこで生じたのが”コミュニケーション”です。

これを発展させてきたのが、動物の歴史です。

各動物はその形態はさまざまであれ、コミュニケーションをしています。

仲間同士の求愛、危険信号の伝達、群れの中での序列の確認など。

ここで重要になってくるのが”騙す”という行為の必要性です。

私たちは、無意識のうち”善い”ということを土台をして、コミュニケーションを定義しています。

しかし、”個体の生存と繁殖”という点から見ると、”騙す”という行為にも一定の正当性があるのです。

他者に先んじて、自身の遺伝子を後世に繋ぐことが目的であるならば、コミュニケーションは騙すことが前提になっていると考えるのが妥当です。

まとめ

最後まで読んでくださってありがとうございます。

第4章では、「体が遺伝子のコロニー」であること、「脳が重要な理由」、「コミュニケーションにおける”騙す”」についてまとめました。

次回、第5章のテーマは「攻撃」。

「進化の観点から見た利害の衝突」という内容でまとめていきます。

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