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【気のいい奴が勝つ理由】『利己的な遺伝子』をやさしく解説|Part.12|リチャード・ドーキンス著

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こんにちは、よだかです。

利己的な遺伝子』を1章ずつ読み解いていくシリーズも、いよいよ第12回まできました。

今回のテーマは──

🤝 「気のいい奴」がなぜ進化的に有利なのか?

一見、騙されそうな“お人好し”こそが、
実は長期的な戦略として最も強い──

そのことがゲーム理論の実験で示されています。

この章では「協力・裏切り」という対立構造を通じて、
“最適なふるまい方”がどこにあるのかを解説していきます。

🔁 前回(Part.11)の記事はこちら
👉 ミーム:人間だけが持つ“文化的遺伝子”


この記事・本をオススメしたい人

  • ゲーム理論に興味がある方
  • 人間関係やビジネスの“信頼と裏切り”に悩んでいる方
  • 利他行動の進化的意義を知りたい方

ゲーム:囚人のジレンマ

本章で取り上げられるのが、政治学者ロバート・アクセルロッドが行った「囚人のジレンマ」。

ゲームの基本ルール

  • プレイヤーは2人、出せる手は「協力」か「裏切り」
  • 結果に応じて報酬(ドル)が変わる
状況報酬
両者協力両者に +300ドル
一方が協力・一方が裏切り裏切り側に +500ドル / 協力側は -100ドル
両者裏切り両者に -10ドル

このゲームを繰り返し行ったとき、どんな戦略が一番利益を得られるのか?


最強の戦略は「やられたらやり返す」

最終的に最も多くの報酬を獲得した戦略は、
驚くほどシンプルでした。

✔️ 普段は「協力」
✔️ でも、相手が裏切ったら次のターンでだけ「裏切る」

つまり、
「やられたらやり返す」戦略です。

この戦略が生き残った理由は明確です。

  • 一方的に裏切られることはない
  • 信頼関係の中では最大の利益を得られる
  • 複雑な戦略ではないので再現性が高い

よだかのつぶやき💬

信頼をベースにした関係を築きながらも、
“裏切りに対しては毅然と報復する”──
このシンプルなスタンスが、長い目で見て最も得をするというのは、
人間関係でもビジネスでも、納得感がありますよね。


環境が未成熟な時ほど裏切り者が得をする

もちろん、すべての環境で「気のいい奴」が勝てるわけではありません。

  • ルールが定着していない
  • 監視の目がない
  • 一発勝負の世界

こんな状況では、搾取する側が得をします。

👤「詐欺師が最初に儲ける」のは、まさにこれ。


胴元(ルールの作り手)を疑え!

ここでポイントになるのは、
“そもそもこのゲームのルール自体、誰が得するようにできてる?”という視点。

  • ルールに従って争うこと
  • 損得で他者と競い合うこと

それって実は胴元の思うツボかもしれません。

🎲 戦っているつもりが、実はゲームを提供する側の利益になっていないか?


ゲームが続くことが前提条件

「やられたらやり返す」戦略が有効なのは、
ゲームが続く前提があるからです。

  • 一度きりの勝負では裏切りが得になる
  • でも、長期的な関係性が前提なら協力が得になる

ビジネスも恋愛も、これに似ていますね。


📘 本章のまとめ:気のいい奴が一番になる理由

  • 協力をベースに、裏切りには一度だけ報復する
  • シンプルで強い「やられたらやり返す」戦略
  • 環境が未熟な段階では、搾取側が有利
  • 胴元=ルールの構造を見抜く視点が必要
  • 長期的なゲーム前提なら、協力戦略は最も有利

📕『利己的な遺伝子』をもっと読みたい方へ

信頼と報復のバランス。
それが“生存に最も有利な形”だったという事実を、
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