どうも、よだかです。
今回は「利己的な遺伝子」やさしく解説の第11回。
生物観を大きく揺るがすベストセラーの本書。
第11章のテーマは「ミーム」。
他の動物と人間を区別するものは一体なんなのでしょうか?
筆者は「文化」にあると述べます。
他の生物と違い、人間だけが「文化」という強力な武器を持っています。
本章で深掘りしていくのは「人間をめぐる特異性」。
遺伝子に代わる自己複製子「ミーム」について、詳しくまとめていきましょう。
この本・本記事を読んで欲しい人
・利己的な遺伝子を読んでみたい
・生物の起源を知りたい
・進化の本質を理解したい
ミームとは何か?
ミームとは、それ自体が自己複製をする概念のこと。
文化を伝達する単位、あるいは「模倣」の単位。
人間の生み出した文化の中で、継承されていく概念と言い換えても良いでしょう。
例えば、宗教観や道徳観。あるいは、常識やルール。
その文化を形作るありとあらゆる要素が「ミーム」となるのです。
「ミーム」は、遺伝子とよりも圧倒的にはやくその形を変えていきます。
そのため、遺伝子に代わる新たな自己複製子になり得るのです。
遺伝子の3要素
ミームも遺伝子と同様に、寿命・多産性・複製の正確さという点からその特性を考察することができます。
一つずつ順番に見ていきましょう。
寿命
文化における寿命を考える時には、それがどれほど長く継承されるかという点を見ると良いです。
例えば、民謡。
人々が何世代にもわたって受け継いできた歌や音楽は、遺伝子に刻まれたものではありません。
しかし、譜面に書き表されたり、後天的に記憶に刻まれたりすることで、遺伝子に依存しない寿命を得ることができますよね。
遺伝子の外部に寿命を獲得したというのがミームの面白い点です。
継承されなくなった時点でその寿命は途絶えることになるので、その文化や環境などにも大きな影響を受けることになります。
その分、強力な文化を作ることに成功すれば、宗教などのように超長期的な寿命を手に入れるミームも誕生します。
よだかのつぶやき
短期的な寿命を持つミームの例としては「流行」などが挙げられますね。
いっときは爆発的に拡散するものの、やがては廃れていってしまうもの。
爆発的に拡散するミームの寿命を延長するには、どうすれば良いのかを考えることは、ビジネス感覚を磨くのにも役立ちそうです。
多産性
これは、寿命よりもはるかに重要な要素です。
あるミームが、科学的なアイデアである場合、それが拡散するかどうかはそれが科学者集団にどれだけ受け入れられるかに依存します。
このケースでは、どれだけ多くの研究者に引用されるかといったことが、他参戦の指標の一つになります。
環境の影響を大きく受けて、多産性が決定されるということです。
これは、遺伝子の場合と非常に良く似ています。
受け入れられやすいものが生き残る。
これは、宗教の教義などを思い浮かべると分かりやすいですね。
書き記された言葉の持つ、際立った潜在的恩恵を被りやすいものは、多産性を獲得しやすいと言えます。
複製の正確さ
ミームの場合は、複製の正確さが遺伝子ほどの強固さを持ちません。
なぜなら、そのミームを受け取った人間それぞれによって”意図しない勝手な解釈”が加わるから。
ミームにおいては、この点が非常に重要です。
正確に複製されることを求められないからこそ、拡散されるのです。
よだかのつぶやき
自分にとって都合の良いものを受け取りたいというのが生き物の性なので、自分に都合の良いミームを受け取って解釈を加えるということが自由にできる点は、思考能力を持った個体にとって都合が良いのです。
一個体の生存本能にとって、非常に都合の良い存在が”ミーム”であるとも言えますね。
誰しも、お気に入りのものに囲まれて幸せな人生を送りたい。
遺伝子がやみくもにデザインしてきた乗り物が、遺伝子そのものを超えようといている証が”ミーム”なのだと感じます。
ミームの住み着く場所
本書では、人間の脳はミームの住み着くコンピュータであると述べられています。
遺伝子には、対立する形質のものがあり、それらが争っています。
生存に有利に働く遺伝子セットが後世に繋がってきており、その先端に立っているのが私たちです。
同じように、”ミーム”にも「対立する観念」があります。
ミーム同士の競争も、ミームの進化や確立に必要な要素です。
観念Aに比べて観念Bの方が都合が良いと判断される場合などですね。
よだかのつぶやき
どんな宗教観を選択して生きていくのかということをイメージしてみても良いかもしれません。
あるいは、誰のどんな考え方を自分の生き方に反映させていくのか?
あなたは、誰からの教えを自分自身の生存戦略に組み込んでいるのか?
思考習慣の原点になっているものを深掘りしていくと、あなた自身を支えるミームが見えてきます。
ミーム自体が進化する
ミームと遺伝子は、互いに強化し合うこともあれば、対立し合うこともあります。
例えば、独身主義。
これは遺伝子的には失敗しますが、ミーム的には成功するかもしれません。
独身主義は、一個体の生存最適化を考えた場合、現代においては成功する可能性が高そうです。
ミームの成功は、それを積極的に他者に伝えるための人々がどれくらいの時間を費やしたかによって左右されます。
ここでは、遺伝子プールとは別にミーム・プールとでもいうべきものが存在します。
遺伝子なのかミームなのか?。
私たちの属している土台を見つめ直す新たな基準として、ミームは非常に重要なポジションをとっています。
ミーム・プールの中で、遺伝子のそれとは比較にならないほどのスピード感を持ってミームは進化していくのです。
ミームは「それ自身にとって有利だ」という理由だけで、文化的な特性を進化させてしまう特性を持っているというのは、非常に革新的ですね。
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
ここまで、ミームの特性についてまとめてきました。
ミームの特性
・人間の生み出した文化の中で、継承されていく
・遺伝子を上回る複製能力を持つ
・遺伝子と対立することもある
人間の持つ”文化”がいかに強力な武器であるかが伝わったかと思います。
次回、第12章のテーマは「気のいい奴が1番になる」。
「自分と同じ種の他のメンバーを助ける個体が、最終的には有利になる」ということをまとめていきます。
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